#83 新北海道紀行 襟裳の春は日本一の春です。

2020年9月15日火曜日
11日目

道の駅 みついし昆布温泉で6時過ぎ起床。
今日の天気予報は☁️/☔であるが、予想に反し今朝から☀️の気配だった。
なんか儲けた気分になった。

髭剃り、歯磨き、朝食をすませて道の駅を7時過ぎに出発する。
太平洋を見ながら快適に236号を走り、1時間30分で襟裳岬に着く。

少し雲が出てきたが、☔の気配はない。
昨日の☔の襟裳岬でなくてよかった。

ご存知の通り、襟裳岬日高山脈の最南端に位置し、強風が吹きやすく濃霧が発生しやすい。
この日はやや強風だったが、霧はなかった。
森 進一の襟裳岬の歌碑がある。

襟裳の春は何もない春です。

このフレーズで襟裳岬は一躍有名になったが、
地元では不評らしい。
何もない春とはなんだと。

もう20年前になるが、NHKプロジェクトXの番組で襟裳岬を放映されていたのを覚えている。
緑が一つもない砂漠状態の襟裳岬を、一人の地元の漁民から立ち上がる。
徐々に仲間を増やして44年にわたる植林作業を続けて砂漠化した襟裳岬を見事に森に変える。
技術を越える執念に感動した。

この植林により、当時昆布など全く採れなかった真っ赤な襟裳岬の海は、紺碧な海に生まれ変わったのだ。
不毛とされた昆布も蘇り、今や日本一の昆布ともいわれている。
不可能を可能にさせた、地元漁民の信念を貫くストーリーにNHKの進行役の方が涙を流し、自分ももらい泣きしたことを覚えている。

このような背景を知っていたので襟裳岬に立つと、信念と執念、そして継続する努力の大切さをあらためて強く感じる思いだ。

襟裳岬から日高へ戻る途中で浜辺に昆布を干す人影があった。
黙々と昆布を干す30歳過ぎの女性が気になり、浜辺に立ち寄る。
仕事中に声をかけては気まずいと思った。
しかしながら女性は昆布の選別作業を中断し、快く応対してくれた。

この女性は、帯広からの出稼ぎバイトで元気モリモリの主婦だった。
女性によると昆布漁は採り昆布と拾い昆布がある。
採り昆布は、7月から10月がシーズンであるが、天候、海、風等の条件から昆布出船は平均20日前後だそうだ。
夏場は岩場まで漕いで船の上から木の棒に昆布を巻つけて採るそうだ。
天日干しは一日で終わるが、今日のような曇天だと3日干すとのこと。

拾い昆布は、海が荒れた翌日に浜辺に昆布が打ち上げられるのでそれを拾うのだという。
この日に打ち上げられた昆布を選別し、根っこを切って持ち帰るのだとか。
乾燥させると大きさが三分の一に縮むそうだ。

料理に欠かせない昆布の裏事情を知ると、ますます昆布が好きになった。
これも襟裳岬の海を豊穣にさせた地元漁民の44年にわたる植林作業のおかげだと思うと感慨深いものがある。

今や襟裳の春は日本一の春です。

話題を変える。

襟裳岬から様似に行く途中で太平洋に浮かんだ山がなんとも印象的だった。
なんていう山なんだろうか。
もしかして高山植物が有名なアポイ岳かも。
思わずシャッターを切った。

336号を走り冬島漁港を過ぎると、アポイ岳ジオパークと表示された大きな看板を右に曲がると、5分ほどでアポイ岳ジオパークに着いた。
アポイ岳ジオパークに入るとアポイ岳に関連する高山植物、登山情報等パネル写真がたくさん展示されていた。

ジオパークの担当のAさん(男性)とHさん(女性)に先ほど撮った写真を見せ、この山はアポイ岳ですかと訊いたところ、アポイ岳だという。
そもそもアポイ岳に登山するつもりはなかったのだが、応対してくれたAさんのヒグマの出没情報、登山情報は、丁寧に優しく教えてもらい、登りたい気持ちが強くなった。

Aさんがアポイ岳の天気予報を調べたところ、明日は☔なので無理だが、19日、20日が☀️なので是非登ってみてくださいと、アドバイスをもらう。
19日、20日アポイ岳登山したいが、この日は本命の羊蹄山が控えているから無理かなと呟く。

AさんとHさんにお礼を言ってジオパークを出る。
海に浮かぶアポイ岳は様になっていい山だ。
天気次第だが、どうにかして登ってみたいものだ。

今日も道の駅 みついし昆布温泉車中泊だ。
あの昆布湯でまったりするのが楽しみだ。

羊蹄山の天気予想は相変わらず18日まで☔だ。
19日に☀️がついたので希望の光が出てきた。

はてさてそれまでの3日間は、どう過ごすのか。
また、今日はどうしようか に戻ってしまったが、これが旅の醍醐味だ。
明日は何かときめく予感がする。
明日が待ち遠しい。

今日の走行距離 137km

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襟裳岬は4回目です。
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砂漠から緑に変わった襟裳です。
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襟裳の浜辺で拾い昆布を干す。
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襟裳の漁港です。
鮭をゲットした餌はイカとサンマでした。
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襟裳中学校です。授業中でした。
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襟裳の空が晴れました。
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襟裳の漁港から眺めた左端の高い山がアポイ岳です。太平洋に浮かぶアポイ岳が印象的で登りたくなりました。
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アポイ岳を見てアポイ岳ジオパークに直行。
有益なアポイ岳登山情報ありがとうございました。
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今晩もみついし昆布温泉でまったりしよう。



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#82 新北海道紀行 長蛇の列にびっくり仰天

2020年9月14日月曜日
10日目

道の駅 音更でいつものように午前6時過ぎ起床。
今日は帯広を中心に観光ドライブだが、☔であることは承知しているが、車窓から空を見上げると曇り空だった。

午前10時前後に☔になることを覚悟の上、いつものコンビニで買った、スパゲッティとおにぎりをすませて足早に道の駅を出発する。

まずは十勝牧場展望台と十勝牧場白樺並木に向かう。

20分ほどで十勝牧場展望台に着いた。
昨日は雄大なナイタイ牧場を眺めたので目が肥えてしまい、この牧場の広大さは特に感動はなかった。
ただ、戦争と人間の超大作映画の舞台ではあったようだ。

次に十勝牧場白樺並木に向かう。
観光雑誌によく見かける白樺並木だった。
NHKの連続ドラマ小説のマッサンの舞台で一躍有名になった並木道でもある。
この並木道は1.3kmの距離があり、白樺は567本並んでいるようである。
あいにく曇空で白樺の映えは今一つだったが、それでもいい眺めだ。
この風景に見とれて往復散策した。

娘がLlNEで、土産に蔵生のクッキーを買ってきてとのメッセージが来た。
北海道では有名なクッキーらしいが、どこの道の駅にも販売していなかった。

8時30分過ぎに帯広駅内の物産展に行く。
この物産展は8時30分開店情報は把握していた。
さすがに大型駅の物産展だけにクッキーを販売していた。
ホワイトチョコレート、普通のチョコレート、あとは忘れたが、とりあえず4箱購入する。
娘の喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。

帯広競馬場に行く。
この競馬場は、ばん馬と呼ばれる馬の体重が1トンを越す馬が、500kgから1000kgの鉄ソリを曳く競争のようである。
世界で唯一の競馬で年間25本の重賞があるそうである。
土日月に開催だ。今日は月曜日なので開催日だ。
午後に開催するため、時間がないのでパスした。

案の定、10時過ぎに小雨がぱらつく中で池田ワイン城に着く。
建物はヨーロッパ中世の古城に似るワイン城だ。
初めて北海道旅行した1982年以来の訪問だが、外見は全然変わっていなかった。
先輩と一緒に見学したことを懐かしく感じた。
娘の同じ名前の「清見」ブランドを購入する。
城内はワイン製造工程を見学し、試飲コーナーは我慢してワイン城を後にした。

また帯広駅付近に戻る。
理由は、ぶた丼の屯田という店で豚丼を食べるからだ。
12時20分過ぎに店に着いたら、駐車場が既に満車状態で駐車場入口までさらに車が並んでいた。
駐車しても外で立ち並ぶ状況である。
ランチ時間のタイミングもあり、かなりの渋滞だ。
店玄関に用意してあった受付表に名前を書いて待つ。

1時間辛抱して待ったかいがあり、ようやく入店。
豚のロースの豚丼を注文後、15分後についに豚丼が!
豚の塊肉を厚めに切っていて、甘めのタレがマッチングして美味しかった。
940円支払う価値があった。

すっかり満腹した自分は、236号を走って幸福駅に立ち寄り、記念撮影を納める。

雨が強くなり、急ぎ幸福駅を出る。
雨の襟裳岬は見たくないので、天馬街道で様似に向かった。

降り続ける雨の中をひたすら前を見て走る自分は、心の中で葛藤していた。

羊蹄山方面のニセコ、函館は17日まで☔だ。
羊蹄山登山は絶望だし、17日まで☔なら北海道に居すわり続けても意味がないんじゃないかと。。

時刻は15時過ぎだ。
この時間なら苫小牧フェリーターミナルに18時に着くので、19時出港に間に合うぞ!
ほぼ帰る気持ちに変わった自分は天馬街道を走る。

すると雨が上がり、雲の間から恍惚と思える一筋の光が鮮やかに放っていた。
思わず自分は車を停め、外に出て空を見上げる。
この偉大な風景に身震いした。
そして☔の理由で今日帰ろうとした弱い自分を恥じる。

俺は何しに来たんだ。
単なる観光ではなく、百名山を登ることではないか。
なんなら羊蹄山が晴れるまで待とうぞ。
一瞬で今日船で帰ることをやめて決断した。

今日の車中泊先は新ひだか町の道の駅 みついし昆布温泉にしよう。
しほろ温泉でNさんに紹介された絶賛の昆布風呂だ。
Nさんに再会できると嬉しいな。


本日の走行距離 252km

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十勝牧場展望台。
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十勝牧場白樺並木。
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帯広競馬場
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帯広駅と蔵生クッキー。
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池田ワイン城のワインは最高です。
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ぶた丼の屯田の行列はびっくり仰天でした。
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幸福駅はなんといってもネーミングがいい。
乗車券を買っちゃいました。
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Nさんが紹介した昆布温泉は太平洋が望める絶好のロケーションでした。


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#81 新北海道紀行 これぞ露天風呂の醍醐味だ

2020年9月13日日曜日
9日目

十勝岳頂上から眺めた山風景の余韻がまだ残ったまま、望岳台駐車場を12時過ぎに出発する。

明日は帯広方面へドライブするも☔だ。
また、次の羊蹄山も17日まで☔で登頂が厳しくなった。
このままの天気だと羊蹄山をあきらめて15日に繰り上げて帰ることを検討し始めた。

まぁ、今日の午後は天気が持つようだし、☀️マークの然別湖、ナイタイ牧場へドライブして帯広の道の駅で車中泊を考えた。

望岳台駐車場から20分で吹上露天風呂の看板に目がとまる。
吹上露天風呂の駐車場に車を停めて露天風呂に通じる自然道を3分ほど歩くと湯気が立ち上がる。

そこは脱衣場がない、混浴無料露天風呂だった。
露天風呂は、女性を含めて8人ほど入浴中だった。
十勝岳登山の汗を流したかったので躊躇なくスッポンでドボン!

周囲の川の流れる音、緑の木々の香り、野趣溢れる
露天風呂に浸かるのは最高に気持ちいい。
源泉かけ流しの無色無臭の温泉であり、肌ざわりがとてもいいのだ。
ついこのまま寝てしまいそうだ。

30分ほど浸かった後は、然別湖(しかりべつこ)へ向かう。
富良野、鹿追を通過し、15過ぎに着く。
然別湖は以前から行きたいと思っていたが、ようやく実現できた。
然別湖大雪山国立公園内に位置しており、北海道で最も高い標高810mあり、水深108mの湖である。
あいにく☁️なので湖の色はいまいちである。
晴れた日の紺碧な湖を見たかった。
しかしながら、大古の自然をそのまま残しており、見ごたえはあった。

湖畔に遊覧船が停船していたが、肌寒かったので乗る気にもなれなかった。
65歳前後の遊覧船管理人さんが、自分を見て、

「こんな格好したらコロナで風邪ひいちゃうよ!」

笑いながら声をかけられた。
確かに半袖、半ズボンの格好であり、気温15度前後と思われる寒さには不釣り合いである。
その場にいた、若いカップルにも笑われた。
すかさず、「そうですよね これじゃ笑いたくても笑えないですよね」と言い返すと腹を抱えて笑っていた。
笑顔が優しい、愛嬌のある男性だった。
このやり取りは、旅行中を含め、しばらくなかった。
なぜかホッとした気分になるのは、どうしてだろうか。

然別湖からナイタイ牧場へ向かう。
17時に閉門なのでスピードをあげてなんとか16時30分に着いた。
ナイタイ牧場は日本一広い公共牧場で総面積は1700haあり、東京ドーム358個分の広さだ。
地平線まで続く緑の芝のじゅうたんに感動した。
草を食む牛の放牧に心が和む。
自分は閉門ギリギリまでそこに立って眺めた。
十勝岳登山の疲れをそぎ落とすようにずっと眺め続けた。

あたりは少しづつ暗くなりつつある。
夏は終わり、秋の気配を感じさせる日の暮れだ。
寒風が強くなり、肌を突きさす。

帯広観光センターに電話して、帯広でゆったり休憩できる温泉はないかと問い合わせする。
返った言葉は、水光園は地元でも人気があり、天然のモール温泉なので身体が温まるとのこと。
なんでも22時まで入浴できるので嬉しい限りだ。

水光園でゆっくり浸かって疲れを癒し、道の駅
音更(おとふけ) で車中泊することにしよう。

本日の走行距離 252km

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吹上露天風呂でまったり。
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然別湖は静寂が似合います。
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ナイタイ高原は雄大でした。
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今晩の車中泊である道の駅 音更です。


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#80 新北海道紀行 曇空も視界全開の十勝岳頂上に立つ

2020年9月13日日日曜日
9日目

十勝岳登山口の望岳台で5時過ぎに起床。
さすがに人気のある山だけに、およそ50台分の駐車場は満車であり、駐車場への入口まで所狭しに車が並んでいた。

駐車場から見上げる十勝岳は、ややガスがかかっている。
隣の滋賀ナンバーの40歳過ぎの夫婦は、既にバックの点検をしており、登山靴の紐を結びかけている。
自分も遅れまじと、山支度の準備を15分ですませ、6時前に出発する。

今日は標高2077mの百名山である十勝岳に登る。
十勝岳大雪山の南にあり、十勝連峰の最高峰である。
今なお、噴煙を上げる活火山でもある。

この日を待っていたかのように、体が躍動。
望岳台からの登山道は、緩やかな道だが、美瑛岳分岐を越えて十勝岳避難小屋を過ぎたあたりから風が強くなってきた。
さらに霧雨が降ってきたので雨具に急ぎ着替える。
ここから登山道は急登となる。

岩に塗られたペンキを頼りにガスの中を登る。
急斜面を登りきり、昭和火口を望む平坦地に着くと、ガスが抜けつつあり、後方に美瑛、富良野を一望できた。

前方は噴煙を上げる十勝岳の中腹が見え、円錐形の十勝岳が間近に迫ってきた。
周囲は火山灰、泥流跡があり、活火山であることをあらためて認識する。

しばらく尾根上を歩くと、ガスが時折り流れてはいるものの、十勝岳頂上が見えた。
頂上まで残り20分のガレ場の急登を登りきると、
頂上にいる年配の男性からの声が聞こえた。

兄さんが頂上に着いたら、ガスが消えて展望が良くなったよ!

ついに頂上に立ち、周囲を見渡すとタイミングよく、ガスが晴れて美瑛岳富良野岳、富良野市街を一望できた。
コースタイム4時間を2時間50分で登頂した。

一時は、風と霧雨が強い時があり、どうなるかと思ったが、眺望できてやれやれだった。

声をかけてくださった男性から淹れたてのコーヒーをいただいた。
この男性も秋雨前線による影響で日程がずれ込み、3日間待ってこの日の十勝岳登山を迎えたという。
自分も同じなので、互いに登頂したことを喜びあった。

この男性は、美瑛岳まで縦走するというので、コーヒーのお礼を言って山頂で別れた。
あのコーヒーの味は格別だった。

しばらく山頂で30分過ごした後、望岳台に戻り、予定通り12時前に到着した。
なんとか眺望できてよかったと安堵する。

明日は☔なので、午後は☀️マークのナイタイ高原、然別湖を回ろうぞ!

百名山77座登頂 残り23座。

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望岳台から登ります。
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まだ遠い十勝岳
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十勝岳避難小屋を越えたら雲海が見えました。
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ついに十勝岳をとらえる。
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十勝岳頂上からの眺望をお楽しみください。
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下山時のひとコマです。
雄大な景色を一人占めする女性が印象的です。
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美瑛岳もなかなかの山容です。
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遠くに大雪山の主峰である旭岳が見えました。

#79 新北海道紀行 白い道に大感動

2020年9月12日土曜日
8日目

道の駅 美深でいつものように6時過ぎに起床。
日課となった早朝の天気予報をチェックする。

今日は道北(稚内、宗谷、浜頓別)は思惑通り快晴☀️で万歳🙌だ。
明日登山予定の十勝岳は☁️後☀️で登山の可能性が出てきたが、羊蹄山は16日まで☔で厳しい状況は変わらない。
秋雨前線が道南(函館)方面に張り付き、湿った空気が流れ込んでいるので道北以外は☁️か☔のオンパレードだ。
いったいいつまで続くのか。。

明日十勝岳登山に備え、20時過ぎに十勝岳登山口である望岳台に着くように行動開始した。

7時過ぎに出発し、40号で30分ほどで音威子府駅(おといねっぷ)に着く。
ここの駅蕎麦は美味くて評判だが、蕎麦職人さんが高齢によりしばらく休業中だった。
駅内に「頑張れ」の寄せ書きが掲示されていた。
自分も頑張れとエールを送る。

音威子府から275号で浜頓別のクッチャロ湖に着く。ここは2007年以来だから13年ぶりだ。
快晴なので湖面が紺碧で美しい。
レークサイトは、家族連れでキャンプを楽しんでいる。
ゆったりした時間を過ごして気持ちよさそうだ。

クッチャロ湖からオホーツク海沿いにエサヌカストレートを真っ直ぐ走る。
ここはまさに地平線まで、なにもない。
原生花園の中を一直線に走るのは実に気持ちいい。
道の最先端は、消えてなにもない。
地平線とオホーツク海が見えるだけである。

さらに238号を進むと11時過ぎに宗谷岬に着く。
宗谷岬の快晴かつ紺碧なオホーツク海の取り合わせは、2006年以来の最高のコンディションだ。
間宮林蔵銅像からサハリン(樺太)の島影が見える。
サハリン(樺太)を発見した間宮林蔵の胸に去来するものは、いかばかりであろうか。

宗谷岬から宗谷丘陵を走ると褐色の宗谷牛が広大な牧場に戯れていた。
オホーツク海と丘陵と青空、褐色の色合いがなんともいえない光景だ。
幾重も重なる丘陵を通り過ぎても次の風景展開が繰り広がる。
その都度、忙しくシャッターを切った。

宗谷丘陵から稚内へ行く途中から、対向車スレスレの車幅が狭くなる。
ここからアスファルト舗装道路から貝殻を敷き詰めた白い道を走る。

白い道の先は、日本海に浮かぶ百名山たる利尻岳が聳え立つ。
紺碧な空と海、白い道のバランスにしびれた。
今日一番のビューポイントだった。
この風景に30分眺め続けた。
ただゆっくりと時間が流れるだけ。
このまま止まってほしい…

十分に堪能した後は、稚内公園、最北駅の稚内
、ノシャップ岬を観光する。
ノシャップ岬にある海鮮丼は3800円で手が出なかった。
ノシャップ岬から、相変わらず利尻島礼文島の眺めがいい。

今晩の車中泊先の十勝岳望岳台に20時到着に合わせるため、ノシャップ岬を13時30分過ぎに出発する。
ここからノンストップで軽く5時間を越える長距離だ。
安全運転に徹しようと自分に言い聞かせる。

海の眺めが素晴らしい日本海オロロラインを走る。日本海に沿って手塩町、初山別村羽幌町、留萌をひたすら南下する。
深川から無料高速道路に乗り、旭川、美瑛を走る。
美瑛に着いたのは19時過ぎだった。

今晩の晩御飯と明日の朝食分を買うため、美瑛駅前付近のスーパーに入る。
ちょうど余剰の調理品をさばくための割引セールの時間帯だった。
寿司、揚げ物、弁当等の山積みに驚いた。
地域住民の人数に応じて品出しをしているのだろうかと気になる。
これはかなりの廃棄品になるなと呟きながら、特大の豚カツ、あじフライ、鶏肉グリル、野菜サラダ等買う。
明日は久しぶりの登山なので、スタミナをつけるため、少し景気づけた。

美瑛から白樺街道を走り、目的地の十勝岳望岳台に20時30分過ぎに着いた。
さすがに後半の5時間長距離ドライブは疲れた!
スーパーで買った特大豚カツ等を食べた後は、ビールで渇いた喉を潤す。

明日は、いよいよ待ちに待った十勝岳登山だ。
現時点の天気予報は⛅だ。
☔マークがないので少し安心だが、天気は急変することも予測される。

明日はどうか晴れますように。

今日の走行距離 496km

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音威子府駅です。駅蕎麦が休業中で残念ですが、復活を祈っています。
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クッチャロ湖の湖面に癒されます。
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エサヌカストレートはどこまでも真っ直ぐ!
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道の駅 さるふつ公園です。
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宗谷岬から見えるサハリンの島影。
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宗谷岬全景です。
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宗谷丘陵は牧歌的な雰囲気でした。
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白い道に大感動!
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日本最北駅の稚内駅。
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ノシャップ岬は今回で5回目になりますが、ここからの眺めはいつも飽きません。
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ノシャップ岬界隈の飲食店が立ち並ぶ。
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オロロラインを走るとオトンルイ風力発電が立ち並んでいました。
風力発電は全部で26基あり、圧巻でした。
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宗谷本線抜海駅から稚内方面のレールを眺める。
抜海駅は木造駅舎の秘境駅のひとつです。
廃駅の噂があるが、存続してほしい。
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どの角度から眺めても山容が素晴らしい利尻岳
5年前に登頂した百名山だけに感慨深いものがあります。


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#78 新北海道紀行 ハルキストが集う聖地にワクワク

2020年9月11日金曜日
7日目

いつも通り道の駅 美深で6時過ぎに起床して髭剃り、歯磨きを化粧室ですませて、朝飯用のおにぎりを食べる。

気になる天気だが、スマホの天気予報は、北海道は全体的に☀️マークがなく、☁️と☔のオンパレードだ。
このまま秋雨前線が張り付くと羊蹄山十勝岳登山が厳しい状況になりつつあり、一抹の不安をかかえる。

ここ美深は、☔がなく、かろうじて終始☁️だ。
しかしながら、霧雨を覚悟する必要があるかもしれない。

さて今日の旅は、いつもの「今日はどうするか。」の呟きはない。
今日の行動は目的意識があるからだ。
それは、仁宇布(にうぷ)にある松山農場とトロッコ王国を廻ることである。

ここで簡単に美深町について説明する。
美深町は道北に位置しており、名寄市の隣町である。
稚内まで2時間、旭川まで2時間30分の中間にあり、人口4000人超えの小さな町である。
南北に天塩川が流れている。
仁宇布の冷水と十六滝は環境省より名水百選に認定されている。

美深の地名の由来は、天塩川の砂利川原をさすアイヌ語の「ピウカ」(石の多い場所)に由来し、美深駅周辺は「ピウカ」と呼ばれたらしい。(地元談)

観光の目玉がない美深町になぜ訪ねるのか。
理由は、毎年ノーベル賞候補にあがっている村上春樹が執筆した「羊をめぐる冒険」の舞台のモデルが美深町の仁宇布ではないかといわれているからである。
特段、検証しに行くわけでもなく、雰囲気を味わいたいだけである。

羊をめぐる冒険」を知るきっかけは、大学2年の時に付き合っていた彼女から紹介されたのがきっかけだった。
まず、枠にはめたガッチガッチの凝り固まった文章ではなく、自由自在の筆致で、たくみに人間の心理を見事に描かれていたことをよく覚えている。

羊をめぐる冒険」は、文字通り、羊を探す旅で、星形の印がついている羊を探す牧場を追い求める冒険である。
その牧場のモデルが美深町仁宇布にある松山農場ではないかといわれている。
真偽の結果はともかく、このような文学のロマンを旅するのもありかなと考えた。

松山農場は道の駅 美深町から30km45分離れた場所にあった。
ワクワク感で松山農場に近づくと右手に広い牧場がある。
待避所で車を停めて柵まで歩くと羊が20頭前後、戯れていた。
そしてこの小説の重要な舞台である別荘が、松山農場と二重映しに見えた。
小説で描かれた、あの場面が自分の記憶の中にしっかり定着しているので瞬時に蘇る。

村上春樹は青春時代にこの地を訪れて小説の題材にしたかもしれない。
そう思うと、なんかワクワクした感じになる。

村上春樹を信奉する全国のファンの方々が、毎年1回開催される「草原朗読会」をここ松山農場に集まり、村上春樹の出版本を読み合わせる旨の記事をどこかで読んだことがある。
それがここの地だと思うと親近感が湧く。

話題を仁宇布駅に変える。
昔の仁宇布駅は美幸線の最終駅だったようだ。
宗谷本線美深駅を起点とし、昭和39年に開業したものの、全国3位以内に入る大赤字でやむなく昭和60年に廃止したと歴史資料に記されていた。

ロッコ王国美深を訪ねると、当時の仁宇布駅のプラットホームがそのまま残っていた。
せっかくの機会なのでトロッコに乗ることにした。
このトロッコはエンジン付きでひとりで運転できる仕組みだ。
往復10kmのレールの上を気ままに50分運転する。
エンジンとレールに揺れる音が居心地がいい。

ロッコから降り、トロッコの管理者と思われる70歳過ぎの男性に仁宇布の人口、学校、鉄道等いろいろと訊いて丁寧に説明してくれた。
ついでに村上春樹羊をめぐる冒険のことは知っていた。
男性の説明によると毎年、外国人のファンの方々が美深、仁宇布に来ているという。
昨年はロシア、フィリピン等の外国人が訪れていたとか。
彼らの目的も羊をめぐる冒険のロマンを求めているのだろう。

ハルキストはすでにグローバルだ。

今日の走行距離 69km
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道の駅 美深から一日のスタートです。
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美深駅と駅前通り。
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美深駅内で美幸線の歴史資料が展示されています。
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天塩川は北海道第2位の距離です。
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仁宇布駅から名残りのレールを走る。
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ハルキストが集う聖地 松山農場
松山農場はファームイントントともいわれ、仁宇布唯一の宿泊宿。羊のジンギスカン食べ放題です。
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牧場から鹿が現れました。
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仁宇布の冷水と十六滝巡りをしました。
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美深駅から2番目の駅 紋稲内駅は秘境駅のひとつですが、2021年3月に廃駅になる予定です。
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美深温泉は浴室が広くて天井も高く、まったりしました。


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#77 新北海道紀行 子熊の遭遇に大興奮

2020年9月10日木曜日
6日目

道の駅 らうす・シリエトクにて、いつものように午前6時過ぎに起床。
車窓から空を見上げると太陽が見えて心が踊る。

スマホで知床の気象庁予報を確認すると、午前中までは☁️で午後は☔だった。
この日は北海道全土が☁️☔で☀️がなかった。
なにやら羊蹄山おろか、十勝岳登山も危うい状況。

まぁなんとかなるやろうと、コンビニで買ったスパゲッティとおにぎりを軽く食べて午前7過ぎに出発する。

今日は午前中が勝負だ。
午後は間違いなく、どしゃ降りになるのでこの時間帯は移動時間に充てようと考えた。
既に今日のドライブコースは頭の中に出来上がっている。

道の駅うとろ・シリエトクからオホーツク海に沿って20分ほど走ると砂利道に出る。
この砂利道はなかなかの悪道路だ。
パンクを避けるため20km前後減速して原生林の間を潜り抜けて10分後にカムイワッカ湯の滝に着く。

この滝は知床連山の硫黄山中腹から涌き出た温泉が川に流れ込み、湯温は約30度の温かさだ。
ちょっとした沢登り感覚で滝を登るとサンダルで履いた素足が少し温い感覚がして気持ちいい。
この滝は滑落リスクを避けるため、途中で通行止めになっている。
もう少し登ってみたい気持ちが強かったが、ルールを守ることにしてここで引き上げた。

次に知床五湖に向かう。
文字通り湖が五つあり一湖、二湖、三湖、四湖、五湖の名称がある。
これらを全て散策するのに1時間30分要するが、自分は何度も散策しており、今回は時間がないので一湖、二湖だけ散策した。

湖に映る知床連山に見とれてしまった。
2015年7月に知床連山の最高峰である羅臼岳を登頂しているだけに感慨深いものがある。
天候は☁️でなんとか湖面に映る知床連山を見ることができて良かった。

ここで、しほろ温泉でお会いしたNさんの顔を思い出した。

そうだ!ヒグマの子供をナマで見よう❗

Nさんが教えてくれた、ヒグマに遭遇できる場所を記憶から辿ってみる。
道の駅から15分前後車を走らせると川にさしかかり、ヒグマウォッチの車が数台駐車している場所だと。。。

うん?あれだ!

橋の上で3人の男性がなにやら会話をしていた。
耳をそば立てて聞くと、70歳前後の男性は数日の間、ここで待機しているようでまだ遭遇していないと嘆いている様子。
もう一人の40歳過ぎの男性は、昨日にヒグマに遭遇したといい、ヒグマが姿を現した場所を指をさして興奮気味に話をしていた。
30歳過ぎの男性はそれを訊いてなにやら羨ましげな様子。

まるでヒグマウォッチサークルの会話だ。
Nさんもこの会話に加わっていたのかな。。

自分も待機したが30分で痺れを切らしてその場を去った。
そう簡単にヒグマに出会うことはない。
人間が集まればヒグマも警戒して姿を見せないのだ。

車に戻り、しばらく走ったら大きく切り開かれたオホーツク海と断崖の光景に目が止まったので車を停めて写真を納めようと外に出る。

そこで女性と男性が大きな望遠レンズのカメラを構えてなにやら忙しい様子。

どうしましたかと声をかけると、男性はヒグマがいるよという。
えっ!どこですか?と訊くと女性が右手を伸ばして
ほらっ動いているでしょっ!という。

目を皿にして海から川を追って凝視すると、なにやら黒い玉のようなものが動いていることに気付く。
少し精度が落ちる望遠レンズで見事に鮭を食わえたヒグマをキャッチした。
その画像を見た自分は、我を忘れて声をあげる。
そして感動とともに興奮した。

この男性と女性は、ヒグマウォッチツァー団体の一員のようで毎年ヒグマを見に来ているとのこと。
女性のいかにも高価そうな望遠レンズのカメラの画像を見せてもらい、迫力満点のヒグマが見事に捉えていた。
プロ級の腕前だ。

このお二方からヒグマの習性、出没の場所、縄張り等を話をしてくれてとても興味深かった。
ヒグマを見たい、会いたい、写真を撮りたいという気持ちは趣味的なレベルを超えており、その執念がモチベーションとなるのであろう。
あのNさんもそのような方だと察した。
温厚なNさんの別の一面を垣間見る思いだ。

拙い写真ではあるが、Nさんに写真を見せたいと思った。きっと喜んでくれるだろう。
Nさんとは、この先どこかで再会できると信じている。

さて、ヒグマの写真を撮った自分は気分が良くなる。
知床峠を越えて羅臼町を走り、太平洋が見える相泊温泉で30分ほど露天風呂に浸かる。

前方にわずかに52km離れた国後島が見えた。
一昨日の納沙布岬でも呟いたが、同じことを言おう。

あれは間違いなく日本の領土だ。

時刻は13時30分過ぎ。
ここまでなんとか天気は持っててくれて良かった。
いよいよ気になる雨雲が広がり始めた。
ここから350km前後の距離を5時間30分かけて、どしゃ降りの中をひたすら北上するのだ。

羅臼町から網走を通過しサロマ湖辺りで予想通り、どしゃ降りで右手に見えるオホーツク海が真っ白状態。
けたたましい豪雨の下、紋別、興部(おこっぺ)、雄武(おうむ)を通過し、今日の車中泊である美深町に着いたのは午後19時30分だった。

午後の長距離ドライブで疲労困憊だ。
美深温泉に浸かって早めに寝ることにしよう。

本日の走行距離 448km

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道の駅 うとろ・シリエトクを7時過ぎに出発。f:id:kunpu3684:20201003212221j:plain
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プユニ岬から見たウトロのオホーツク海
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カムイワッカの湯はこんな感じです。
この滝をよじ登っていきます。
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知床五湖のうち、二湖の水面に映る知床連山。
右端が知床連山最高峰の羅臼岳です。
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ここ辺りがヒグマウォッチもヒグマは現れず。
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遂にキャッチ!
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知床峠羅臼岳
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相泊温泉の露天風呂は最高!
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相泊温泉から国後島を望む。
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このネーミングいいね。
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11年ぶりの網走駅です。
ちなみに立て看板の網走駅の文字は、監獄所を出所した囚人が横道に逸れることなく、真っ直ぐ生きぬいてほしいとの願いを込めて珍しい立て看板の駅名だそうです。


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#76 新北海道紀行 オホーツク海に沈む夕陽に感動

2020年9月9日水曜日
5日目

道の駅スワン44ねむろで午前6時起床。
起床後は化粧室で髭剃り、歯磨きが日課となった。
映しだされる鏡に自分を確かめて髭剃り、歯磨きを終える。

さて今日はどうするか。

辺り一面はガスで真っ白だ。
本来ならば風蓮湖を見渡せるはずだが見えない。

道南(函館、札幌)道央(旭川富良野)を中心に天気が崩れているとラジオが報じられていた。

そこでノートに稚内、美深、札幌、函館、帯広、十勝岳望岳台、羊蹄山の7拠点を縦列に、横列に向こう6日間の天気予報図を書いて日々更新することにした。

北海道が全体的に天気が良くない。
これは前線が張り付いていることが原因であり、かなり停滞している。
特に函館、札幌方面の道南はひどい。
問題は前線がいつ抜けるかだ。

現時点では、羊蹄山はほぼ全滅であり、十勝岳はわずかに12日と13日の可能性がある。
まぁ天気は変わりやすいからここで諦めてはいかんで、と自分にいいきかせる。

書き込んだノートを睨み、決断したことは、できる限り前線から離れて道北方面(稚内、美深、ウトロ)に北上することだった。
羊蹄山十勝岳は遠のくが、晴れマークに近い場所にいることが重要である。
総じて十勝岳は13日登山決行し、羊蹄山は17日に予備として残しておき、その日程に合わせてドライブ調整することにした。

よって帰りの苫小牧から新潟のフェリーは12日から17日に延期することとした。

今日のドライブコースの天気予報は午前10時までは曇りか、霧雨で午後は晴れ予報を信じてハンドルを握る。

午前7時出発し、太平洋側に沿って244号を走ると湿った空気が標津町を覆っていた。
気温は15度、16度のまま一向に上がろうとしない。
こんな天気が一週間続くと思うと、気持ちまで水滴に湿っていく。

標津町から開陽台展望台、摩周湖を走るが案の定ガスで真っ白だ。
ここは4回ほど来ているが、真っ白は初めてだった。

午前10時30分過ぎに摩周湖から屈斜路湖方面に進むと少しずつガスが抜けて青空に一変しテンションが上がった。
自分の天気予報通りの展開だ。

その後は、津別峠、美幌峠、メルヘンの丘、小清水原生花園は快晴で絶景を存分に楽しんだ。
特に小清水原生花園は、オホーツク海に浮かぶ知床連山が爽快だった。
また、斜里岳をバックに草を食む馬の光景もいい。

斜里からウトロに向かう途中に、オホーツク海に沈む赤々と燃える夕陽がルームミラーに映っていることに気付いた。
漁船が係留している海沿いの適当な駐車スペースを
見つけた。
そこで駐車し、海辺まで歩いて小高い岩に座わる。オホーツク海に沈む夕陽に目を奪われた。

この素晴らしい夕陽を用意してくれた自然の営みに合掌。

午後18時過ぎにウトロに到着し、夕陽台日帰り温泉で450円払ってひとっ風呂。
管理人のおばさんから明日は雨だよ、と訊いて少し気持ちがダウン。
それを気遣ってか、知床の観光地図を渡され、観光グルメスポットを教えてくれた。
おばさんの優しい気持ちが身に沁みる。

さて明日はどうするか。
天気次第では休戦扱いにして、知床のホテルで大露天風呂、夕食豪華バイキングでも楽しもうか。

それとも...伝い訊いていたあの場所へ行くか...

自分の気持ちは半分半分だった。
とりあえず明日の天気をみて判断しようと考えた。

今日の車中泊は道の駅 うとろ・シリエトクだ。

いつものように晩飯は、コンビニで買ったチキンカレーライスとビールで一服する。
どうか明日の午前中だけは天気は持ってほしい。
そう念じてそのままシュラフにもぐりこんだ。

本日の走行距離 304km

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今日からノートに天気予報を日々更新。
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開陽台の近くにあるライダー人気の北19号。
折り畳むような一直線です。
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川湯温泉にある硫黄山
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横綱大鵬川湯温泉出身。
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屈斜路湖の砂湯は、文字通り砂の中は温泉でした。
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津別峠から絶景を眺める。
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美幌峠から屈斜路湖、中島を眺める。
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メルヘンの丘です。
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原生花園駅です。
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小清水原生花園から知床連山とオホーツク海
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斜里岳をバックに草を食むサラブレッド。
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知床斜里駅。ここも4回目です。
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オホーツク海に沈む夕陽に感動。


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#75 新北海道紀行 快晴でドライブ満喫

2020年9月8日火曜日
4日目

道の駅 しほろ温泉で6時起床。
さて今日はどうするか。
羊蹄山十勝岳方面は天気下り坂のようだ。
まぁ帰りのフェリー乗船12日までは天気回復するだろう。

ずっとコンビニ弁当でお腹を満たしたので無性に刺身が食べたくなった。
それでおよそ1時間30分要する釧路の和商市場に向かうことにした。

道東方面は快晴だ。
国道392号から白糠町で太平洋に沿って38号線を走る。
ほどなく釧路の和商市場に8時30分過ぎに着く。
2011年以来の訪問だが、コロナの影響で極端に客が少ない。
あの当時はごった返しで大変な賑わいだった。

以前に釧路のゲストハウスのオーナーからゲストハウスをやらないかと誘われたことがあった。
関西出身の方で定年退職後のセカンドライフでゲストハウスを立ち上げた方だ。
今も元気に経営しているが70歳超えており、後継者が欲しかったのだろう。

その当時の地元釧路の食い道楽をいろいろと教えてくれた。
和商市場に岩崎惣菜屋の刺身定食が旨いと記憶していたのでそこで朝食を食べることにした。
評判通りの美味だった。
マグロ、ホタテ、甘エビ、煮物等セットでボリューム満点でマグロのとろり感は最高だった。
さすがにオーナーのおすすめの一品だった。

次に細岡展望台へ向かう。
2006年家族で初めて北海道旅行して以来で雄大釧路湿原はそのままだった。
蛇行した釧路川、遠くに登頂したことがある雌阿寒岳が聳えていた。

この光景に満足した自分は更に東へ進み、牡蠣が有名な厚岸湖、霧多布岬へ走る。
霧多布は4度目のドライブである。
これまでは名前通り霧が多く視界が悪かった。
今回は初めて霧のない紺碧な海を見ることができ感無量だった。

霧多布岬から広々とした砂丘海岸道路は実に快適なドライブだ。
水のほとりでたむろしていた、馬が群れをなして飲む光景は牧歌的であり、まさに北海道ならではの風景だ。

見渡す限りの太平洋を眺めながら142号を走り、根室半島の最先端である納沙布岬に16時過ぎに着く。
ここは4度目になるが、前方に見える島影に複雑な思いにかられる。
貝殻島納沙布岬からわずか3.6kmの至近距離。

貝殻島水晶島色丹島は、はっきり言って日本の領土だ。

北方領土資料会館に入る。
きれいな顔立ちをした、20代の若い事務員の女性から北方領土の歴史の説明を受けた。
日露戦争による千島列島、樺太交換から説明が始まり、北方領土ロシア上陸までの経緯を端的に説明してくれた。

少しずつ世界史が蘇ったとともに怒りがこみ上げてきた。

日本が敗戦宣言したにもかかわらず、日ソ中立条約を破り、どさくさ紛れのロシアの侵攻はアフガニスタンクリミア半島侵攻と変わらない。
北方領土を返せ」のスローガンに胸が痛む。
この叫びがどこまで日本国内の隅々まで行き渡っているのだろうか。
巨大なモニュメントの下に平和の炎が燃え続いている。

自分は反射的に合掌する。

根室駅前の観光情報センターで近場の銭湯である、みなと湯を紹介してもらい、450円払ってひとっ風呂。
入浴後は駅前の小スーパーで半額のかつ弁当を買い、今晩の車中泊である道の駅 スワン44ねむろに向かった。

今日は快晴に恵まれ、海の輝きが眩しいほどきれいだった。
まるで昨日のトムラウシ登山の天候を晴らすかのようだった。
明日の羊蹄山十勝岳方面は曇り、雨マークだ。
下手すると12日には帰れないと嫌な予感がする。

さてどうするか。
寝てから考えることにしよう。

本日の走行距離 312km

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2006年以来の道の駅 しらぬか恋問の前庭。
自分の子供がはしゃぎ回る姿を思い出します。
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釧路和商市場です。刺身定食は美味だった。
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釧路駅と細岡展望台。
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厚岸は牡蠣の宝庫でした。
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砂丘海岸通りを走ると群れをなす馬の光景が見られます。
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霧多布岬から見事な紺碧な海。
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アゼチの岬も霧がなく晴れていました。
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昆布盛のネーミングがいかにも北海道らしい。
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花咲岬への道。
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花咲岬から北方領土である水晶島を眺める。
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根室半島最先端の納沙布岬への道です。
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納沙布岬に到着。
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根室駅にて。
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今晩のお風呂と夕飯です。


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#74 新北海道紀行 旅先で知り合う楽しさ最高

2020年9月7日月曜日
3日目

無事にトムラウシから下山した自分は、汗を流す場所を探していた。
スマホナビで道の駅 温泉 でググったら、しほろ温泉にヒットした。

しほろ温泉に電話したところ、トムラウシ登山口から車で1時間30分で来れるので最終受付時間21時までOKとの連絡を頂く。
今晩の車中泊は道の駅 しほろ温泉で決まりだ。

15時過ぎにトムラウシ登山口を出て16時30分過ぎに道の駅しほろ温泉に着く。

ここの温泉はモール温泉といって美肌によいとされており、十勝川独自の温泉である。
モール温泉とは、植物起源の有機質を含んだ温泉だそうだ。
この温泉に2時間ほど、たっぷり汗を流したら疲れが取れた。
実に気持ちのいい温泉だった。

お腹が空いたので食堂で豚丼を注文。
テレビで最大級といわれた台風10号が九州に上陸し、特番放映されていた。
台風がなければ今頃は鹿児島の開聞岳に登っていたはずである。
九州各地の安全無事故を祈られずにいられない。

豚丼を食べた後は、車中泊先の駐車場に移動する。
時刻は19時過ぎだが、まだ夏の暑さがある。

前方から路肩に腰かけて座っていた60歳過ぎの男性より声をかけられる。

「いやー暑いですね!」

見るからに気さくの良さそうな、少し童顔が残る男性。
車のナンバーを見ると足立ナンバーで自分と同じ東京だ。
男性も自分の車ナンバーが八王子に気付き、

「同じ東京ですね。東京のどちらからですか」

と訊かれたのであきる野ですと答える。
ここから男性との会話のキャッチボールが始まるのだが、大変に興味のある話をしてくれて面白かった。要約すると以下になる。

・この男性は、Nさんといって毎年7月と9月の2回北海道に旅行している。

・車はトヨタダイハツのワンボックスで室内は40万でギャンピングカー仕様しており、とても自慢している。この車のおかげで北海道の旅先で友人をつくることができたという。

・北海道の旅行目的は、ヒグマの小熊をウオッチすることであり、9月は鮭が遡上するので小熊が姿を現す機会が多いので今回はそれで来た。

・Nさんがヒグマをウオッチする場所は、道の駅知床から車で15分のところの川付近であり、ヒグマが現れるまで1日中ずっと待機するという。

・小熊が可愛くてしょうがないと素敵な笑顔。車に小熊のぬいぐるみが置いてあり、毛並みは本物だという。

・これから知床に行く機会があれば是非行ってみてはと誘われる。

・帯広が大のお気に入りで、2年間帯広のマンションで生活したことがある。駅前のマンションで6万円は安いでしょうと。

・北海道の温泉は、日高海岸にある三石と鵜川は最高だから是非寄ってみてくださいと有益な観光情報を教えてくれる。

・現在63歳で子供なしの独身。

・34年間玩具メーカーの営業をやり続け、土日も働き会社に尽して58歳で早期退職。退職金と貯蓄で十分に生活できる状態で60歳からフリーで働いていない。

ざっとこんな感じだった。
これからドライブするのに貴重な情報をゲットし助かった。
Nさん情報を参考にドライブしたことが旅行の質を上げてくれた。

またどこかの道の駅でNさんに再会できるかもしれない。
そんな気持ちを起こさせる不思議な魅力を持つNさんだった。

本日の走行距離 93km

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トムラウシ登山口から途中の道の駅南富良野です。
天気も回復して青空が広がり、人も多かった。
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道の駅しほろ温泉の写真を撮り忘れました。
道の駅資料でご勘弁ください。


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#73新北海道紀行 遂にトムラウシ登頂へ

2020年9月7日月曜日
3日目

なかなか深い眠りに入らない。
理由は、念願のトムラウシ登山が実現できる興奮と往復12時間の長丁場への体力不安、ヒグマ出没の恐怖によるものだった。

浅い眠りから目を覚ましたのは深夜1時30分過ぎだった。
深夜2時に登山開始と決めていたのですでに登山モードに入り、手早く身支度をすませて登山口を出発する。

今日は、標高2141mの百名山であるトムラウシに登る。
往復18.4km12時間の長丁場である。

ここでトムラウシについて簡単に説明。
トムラウシとはアイヌ語で「花が多いところ」「水垢が多いところ」の意味らしい。
トムラウシは、北海道中央部にある美瑛町新得町の境に位置している大雪山奥座敷である。
夏でも天候が崩れると体感温度が極端に低くなる。
2009年7月に団体ツァーの登山者8人が遭難したことは記憶に新しい。

決して侮れない山であり、気持ちを強く持って挑もうと覚悟して登る。

隣の神戸ナンバーの登山者はすでに登っているようだ。
3週間前に好日山荘登山店で購入した、ヘッドランプを装着して登る。
このヘッドランプは非常に輝度が高く、先がよく見えるのでとても心強い。

空を見上げると月から青白い光を放っている。
満天の星が輝き渡り、手が届きそうだ。
東方にオレンジ色の光が放っている。
まるで今日の好天を約束しているかのように。

すっかりヒグマの恐怖は消え失せ、ヘッドランプの光を頼りに暗闇の中へ登り続ける。

4時30分過ぎにコマドリ沢出合に着く。
まだ暗いが、少しずつ薄ら明かりに変化しているようだ。沢水を手で掬って飲む。
コマドリ沢出合は、ヒグマが出没する頻度が高いと訊いていたが、その気配は感じられなかった。

コマドリ沢出合からガレ場の急登を1時間登りきると前トム平に着く。
ここで好天予想も天候が急変する。

風が強くなり、にわかにガスが押し流されて視界が悪くなる。
雨気配を感じたので急ぎ雨具に着替える。
ここでコンビニで買ったおにぎりを2個食べて頂上まで2時間弱の体力補給を行う。

前トム平から急登に耐えるとトムラウシ公園に着くも残念ながら視界ゼロで何も見えない。
霧雨が強く、時折メガネレンズが曇るので手で拭くありさまだ。

とにかく登山ルートから逸脱しないことだけを考える。
曇るメガネレンズから必死にガレ場のペンキ印を探しつつ登ることを集中した。
こんなところで遭難してたまるかの気持ちが強かった。

視界ゼロのガスの中をひたすら前進し、7時50分に
遂にトムラウシ山頂に着いた。
期待していた展望は望めなかったが、残念無念の気持ちよりも、やり遂げた達成感が強かったと思う。

ガスの上空から太陽が時折見え隠れするので、もしかしたら晴れ間を期待したものの、寒風で身体が冷える。
そそくさと8時20分に下山開始した。

往路と同じルートを辿って下山するのでいくらか気持ちが楽になった。
10時過ぎにいくらか霧雨が落ち着き、気温が上昇して涼しくなった。

またトムラウシ公園に戻り着いた時は、少しずつガスが晴れてきた。
晴れたトムラウシ公園は、奇岩と巨岩に囲まれた、さながら巨大な日本庭園といった感じで見応えがあった。
トムラウシから下方は、すでに紅葉が始まっていた。
もう秋色なんだ。

トムラウシ公園から30分ほど下山し、前トム平が見える。
登りはガスで真っ白だった前トム平は、辺り一面紅葉が始まろうとしていた。
今日の最高のビューポイントだった。

後から追いつかれたソロ登山者から、山頂はガスで視界ゼロでがっかりしたけど、ガスが抜けて雄大な山々や紅葉が見れて良かった。
この風景がなければ、ただ登頂しただけだと素敵な笑顔。

全く同感だ。
山の天気は変わりやすい。
好天予想も天候急変があることをしかと受け止めることが大事だ。

予定通りに14時前に登山口に着いた。
やっぱり往復12時間の長丁場だった。
無事に下山し、ヒグマに出会わないで良かったと安堵する。

百名山76座達成 残り24座

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深夜2時でもヘッドランプでこんなに明るくなります。
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月が青白い光を放ち心強かったです。
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カムイ天上のネーミングがいいね。
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前トム平からガス。
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トムラウシ公園もガス。
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トムラウシ登頂。晴れてください。
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トムラウシ公園は紅葉が始まりました。
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ようやく青空。
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前トム平も晴れてきた。
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紅葉が走っています。
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コマドリ沢出合の水は美味だった。
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またカムイ天上に戻りました。
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ようやく登山口に下山。お疲れさまでした。

#72 新北海道紀行 華やかな色彩に心癒す

2020年9月6日日曜日
2日目

新日本海フェリーは予定通り午前4時30分過ぎに小樽港に着く。
小樽港一面はまだ暗いが、少しずつ明るくなるのが膚で感じる。

4時50分過ぎにフェリーを下船し、5年ぶりに北海道に上陸する。
道央自動車道を走ると、札幌で夜明けを迎える。
今日は好天が期待できそうだ。

前晩に6日の行動をどうするかいろいろと考えた。
百名山踏破が主目的である、羊蹄山十勝岳トムラウシの三座をいかに効率的に踏破して12日に苫小牧からフェリーで新潟まで帰ることが当初の計画である。
つまり、新潟から中央アルプス紀伊半島百名山を踏破し、山口、広島方面まで観光ドライブする壮大な計画を立てていた。

羊蹄山ニセコ地域に位置しており、小樽港から1時間30分で羊蹄山登山口に着く。
登山ルートは往復10時間で激しい体力を消費する。
翌日の7日はトムラウシ登山が決定しており、トムラウシの登山ルートは往復12時間を要する。

トムラウシ登山に体力温存したいので、羊蹄山は後回しの12日土曜日にした。
自分の体力を考えると、連日10時間を越える登山はかなりのハードであり、下手すると、体力疲労によりトムラウシに登頂できない可能性がある。
両山とも小屋がないので日帰り登山となるのでこの選択しかない。
しかも十勝岳が控えており、ここは10日前後に登山する予定である。

肝心の天気予報であるが、7日までは晴れマークも8日過ぎから曇り時々雨の下り坂になる。
東北からの前線が北上し、一定の間に北海道に張りつくようだ。
天気次第であるが、最悪はトムラウシ登頂だけになることを覚悟して気持ちの準備が必要と考えた。

上述により、今日は羊蹄山を登ることを止めて美瑛、富良野の観光巡りにすることにした。
この決断が、日程計画に大きな影響を与えることになるとは想像もしなかったのである。


旭川鷹栖インターを下りて旭川市街に入る。
懐かしのオレンジ色が目印のコンビニである、セコマートが飛び込んできた。
ここで朝食と昼食用のおにぎり、菓子パン、ペットボトルを買う。

旭川市街から237号、157号を南下し7時50分過ぎに美瑛駅に着いた。
久しぶりの美瑛駅は小綺麗な駅舎で駅前通りもクリーンな印象を受けた。
さすがに若い女性に人気のある美瑛だけに環境に配慮されていることがうかがえる。

美瑛といえばパッチワークと四季彩の丘だ。
ケンとメアリーの木、セブンスターの木、三愛の丘、北西の丘はあの時の光景と変わらない。
蕎麦畑とじゃがいも畑が実に延びやかで気持ちいい。
登山予定の十勝岳連峰もよく見えており、闘志が湧いてくる。
四季彩の丘は名称通りカラフルな色彩で丘を覆っていた。1時間ほど散策し心が癒された。
今日一番の観光スポットだった。

その後は富良野の冨田ファームを散策し、南富良野から狩勝峠を経て新得町方面に車を走りだす。
トムラウシ温泉からトムラウシ登山口までのルートは、車幅が狭い上にアスファルトならぬ悪路を進む。
尖った石が散りばめられているので、尖った石を避けてタイヤがパンクしないように神経を使って徐行運転する。
ここでタイヤがパンクしたら全ての計画が水の泡になるので、20km前後の減速で慎重にハンドルを握る。

徐行運転で前進すると、山の奥地に入っていることがわかる。
時刻は17時を過ぎ、ようやく30分間にわたる悪路運転から解放され、トムラウシ短縮登山口駐車場に到着した。
駐車場は静岡、神戸ナンバー等の車があり、8台駐車していた。

明日は、いよいよ待ち望んだトムラウシ登山だ。
百名山の中でも難易度が高い山といわれているだけに緊張感も高なる。
なんといっても往復12時間の長い登山ルートだ。
コンビニで買った弁当とビールをすませて20時過ぎにシュラフにもぐりこむ。

どうか晴天であってほしいと、星に祈りながらそのまま眠りに入る。

本日の走行距離 358km


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札幌の朝焼けです。
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美瑛駅の駅舎はお洒落な建物。
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お気に入りの一つである赤い屋根は健在でした。
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ケンとメアリーの木。どうってこともないけど気になる木なんだよな。
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セブンスターの木。たばこのセブンスターのパッケージに採用されたことで有名になった木みたいです。
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緑と青い空がなんともいい。
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今年初めて見かけたコスモス。
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三愛の丘からの眺めです。
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新栄の丘からの眺めです。
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千代田の丘から見た牧草地です。
2006年に来た時は、草丈が長い原っぱで、自分の子供が走り回って遊んでいましたが、今は牛が草を食んでいます。
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美馬牛小学校です。
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四季彩の丘です。青空とカラフルな花に癒されました。
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冨田ファームです。
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富良野から見た十勝岳連峰
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狩勝峠からの眺めもよかった。
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トムラウシ短縮登山口駐車場です。



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#71 新北海道紀行 8度目の北海道へ

2020年9月5日土曜日
初日

読者の皆さん
ご無沙汰しています。
お元気でお過ごしのことと思います。

皆さんに、久しぶりに拙い紀行文を書けて嬉しいです。
実は会社より永年勤続のご褒美として10日間のリフレッシュ休暇を取得しました。
シルバーウィーク4日間を追加して合計18日間の旅行をすることができました。

来年に定年を迎える最後のご褒美として受け止め、
どこへ行こうか考えました。
新型コロナがなければ海外旅行へ行きたいところですが、飛行機が飛んでいません💦

そこで九州の百名山5座踏破を考慮しつつ、九州各地でドライブ観光する予定でした。
しかしながら、台風10号が最大級の猛威を奮って9月6日九州に上陸するとのニュースに接し、鹿児島までのフェリー予約を急遽キャンセルしました。

さんざん悩みましたが、台風による土砂崩れ等の災害の中で百名山登山、観光ドライブする気になれず、断念しました。
今年のGWは、九州旅行を計画していましたが、新型コロナによる緊急事態宣言で延期、そして今回の台風でまたもや延期で、なかなか遠い九州😓

8月に天候不順で取り止めた北海道に行こうと9月4日に急遽決めました🔥
百名山登山と観光ドライブを存分に楽しもうと気持ちを切り替えました☺️

北海道、今回で何度目なのか、少し遠い過去に遡ってドライブコースを辿り、整理しました。
その結果、今回の北海道旅行は8度目だとわかりました☺️☺️☺️

①1982年9月 大学2年 登山サークルの仲間と旅行
苫小牧、襟裳岬、厚岸、根室、知床、摩周湖阿寒湖屈斜路湖、層雲峡、旭岳登山、札幌、余市、函館

②2006年7月から8月 9日間家族と旅行
小樽、美瑛、富良野、釧路、別海、摩周湖阿寒湖屈斜路湖旭川動物園、層雲峡、黒岳登山、苫小牧

③2007年7月から8月 9日間家族と旅行
小樽、稚内礼文島サロマ湖、網走、旭川、登別、支笏湖洞爺湖、苫小牧

④2008年 8月 5日間 家族と旅行
小樽、積丹半島ニセコ、函館、大沼公園長万部、札幌、石狩、厚田、苫小牧

⑤2009年7月から8月 9日間 家族と旅行
小樽、美瑛、富良野、層雲峡、旭岳登山、北見、知床、帯広、十勝、襟裳岬、苫小牧

⑥2011年7月から8月 9日間 ソロ
小樽、美瑛、富良野、日高、釧路、根室、知床、サロマ湖稚内、羽幌、天売島、焼尻島、苫小牧

⑦2015年7月 10日間 ソロ
小樽、稚内利尻島 利尻岳登山、斜里岳登山、雌阿寒岳登山、知床、羅臼岳登山、富良野、美瑛、トマム、苫小牧

⑧2020年9月 18日間 ソロ
トムラウシ山登山、十勝岳登山、羊蹄山登山
ドライブコースは紀行文で追ってお知らせします
ので楽しみにしてください。

さて、8度目の北海道旅行は、果たして目標の百名山三座は達成なるのか?
いかなる結末が待っているのか?

最後までお付き合いのほど宜しくお願いします。

本日の走行距離 314km

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12時に新潟港から新日本海フェリーあざれあ号で出港。小樽まで16時間航行します。
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あざれあ号の船内光景です。
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秋田から青森にかけての日本海の夕日です。
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船内で軽く夕食。
コロナ対策で定員の半分以下で静かでした。


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#70 信濃紀行 花も山も蕎麦も最高だぜ

2020年8月30日日曜日

午前5時30分に畳平行きの乗鞍高原シャトルバス停に自分は立っていた。
始発は6時10分なのでまだ時間があるが、登山者は優に100人越えている。
昨日の始発のシャトルバスは臨時バス含めて5台だったと自分の前に並んでいた男性は言っていた。

暇潰しにこの男性との山雑談が楽しかった。
7月下旬にトムラウシを始め北海道百名山を踏破し、昨日は中央アルプス御嶽山に登頂して昨晩は乗鞍高原の民宿で泊まったという。

群馬からいらした60歳前後の爽やかな男性。
山登りは4年前に始めたばかりで早くも百名山は、今日の乗鞍岳で60座だという。
恐るべしハイペースに目を丸くした。
スマホトムラウシ屋久島の宮之浦岳の写真と高山植物の写真を見せてくれた。

とても楽しい表情をしていた。
トムラウシ宮之浦岳は未踏の山なので現地情報を仕入れることができ、大変に助かった。

この男性も基本は車中泊で山登り中心にして余った時間は現地の観光巡りで楽しむという。
ひとりのほうが気楽で、好きな場所を自由に行けるので楽しいという。
自分と同じ考えなのでなぜか嬉しくなった。

定刻通り6時10分にシャトルバスは出発。
20分経過後車窓から雲海の山々が見える。
シャトルバスは1時間かけて登り続け、目的地の標高2702mの畳平に着いた。

今日は標高3026m百名山である乗鞍岳剣ヶ峰に登る。
畳平からわずか1時間30分で3000m級の山に登頂できる手軽な山だけに登山者も多い。

畳平からお花畑を歩くと、チングルマの綿毛、イワギキョウ、トウヤクリンドウ、ウサギギク、コマクサ等高山植物が朝露に濡れながらも出迎えてくれた。
登山者は歓声をあげて、我を先にとの思いでシャッターを切っていた。
とかいって自分もそのひとりであるが(笑)

お花畑を存分に楽しみ、乗鞍岳肩の小屋を目指して緩やかな登山道を歩く。
今日も見事な青空だ。
湧き上がる夏雲が素晴らしく美しい。

ほどなく肩の小屋に着き、ここから剣ヶ峰への本格的な山登りだ。
急登な砂利道は少々歩きにくい。
眼下に火口湖であるコバルトブルーの権現池が姿を現した。
青空と白い雲とコバルトブルーがなんともいい。
しばしこの光景に立ち尽くした。
そこで合掌する。

砂利道からガレ場に変わり、乗鞍岳上小屋を過ぎると神社が見え、ついに乗鞍岳剣ヶ峰に登頂する。
予定通り1時間30分の8時30分だ。

山頂からの眺めは360度の大展望であり、中央アルプス御嶽山北アルプスが見える。
なんといっても青空と白い雲、コバルトブルーの対比が素晴らしい。
登山者の方々が 次の3つキーワードを並べて言葉を発していた。

素晴らしい!
絶景!
きれい!

山頂でシャトルバス停に出会った群馬からいらした男性にまた会った。
お互いに笑顔で握手を交わす。

最高だね!

この言葉だけで十分だった。

絶景を楽しんだ後は畳平に戻り、11時5分発の乗鞍高原行きのシャトルバスに乗り、12時過ぎに車を駐車している乗鞍高原に戻る。

さて、まだ時間があるので観光巡りでもするか。
昨日車中泊した道の駅 風穴の里で見かけたポスターを思いだした。
そのポスターは 奈川温泉 とうじ蕎麦 と銘打っていた。
とうじ蕎麦ってなんだろう。好奇心にそそられて、車を走らせた。

乗鞍高原から84号で前川渡を右に曲がり158号を伝い、奈川渡を右に曲がって26号を走ると40分で目的地に着く。

そこは そばの里 奈川 という蕎麦屋だった。
暖簾をくぐり、20代の若い女性店員にあのポスターを見かけた、とうじ蕎麦を食べたいと注文した。
ほどなくテーブルの上にガスコンロが置かれた。

ガスコンロ⁉️
今 夏でしょっ‼️
冷たい蕎麦じゃあないの‼️

今さら注文を取り消すわけもいかず、次の品を待っていた。

野菜、キノコ、鶏肉が一杯に入った熱々の鉄鍋がガスコンロに置かれた。
すぐさま店員が火をつけてくれた。
ざる皿にとうじ蕎麦が5玉があり、世にも珍しい「とうじかご」が置かれていた。
店員いわく、鉄鍋に蕎麦をとうじかごに入れて5秒位しゃぶしゃぶ感覚のイメージで食べてくださいという。

その指示に従い食べてみたらなんとこれが美味!
とうじ蕎麦は冬に食べて体を温めるそうであるが、夏でも汗をかきながら食べるのもいいと思った。
周囲を見渡すと同じように食べている人もいた。

とうじ蕎麦の由来は、蕎麦をつゆに浸すことを湯じという。これがとうじ蕎麦になったと店員がいう。

新たなる蕎麦の発見だった。

次に19号を走り奈良井宿に向かう。
30分ほどで奈良井宿の駐車場に着いて奈良井宿をぶらぶら1時間散策する。

奈良井宿は江戸時代の面影を残すレトロな雰囲気だった。
全長約1kmある。軒先の建物が風情があっていい。

資料によると、奈良井は戦国時代に武田氏の定めた宿駅となっており、慶長7年1602年江戸幕府によって伝馬制度が設けられ、中山道67宿が定められており、奈良井宿は34番目の宿場だったと記されていた。

歴史のロマンを感じた。

今日は絶景、新発見の蕎麦、レトロの風情を堪能した最高の1日だった。

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今日はシャトルバス停からスタートです。
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イワギキョウ
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トウヤクリンドウ
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ウサギギク
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コマクサ
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チングルマの綿毛です。
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乗鞍岳が迫ってきました。
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この砂利道は登りづらい。
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火口湖の権現池と雲海です。
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乗鞍岳剣ヶ峰に登頂。
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権現池と前方は北アルプス
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剣ヶ峰からの展望です。
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とうじ蕎麦 ごちそうさまでした。
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奈良井宿は江戸時代のレトロな雰囲気がありました。

#69 信濃紀行 山男の優しさに胸キュン

2020年8月29日土曜日

午前1時30分過ぎに自宅を出発し、長野県松本市にある沢渡(さわんど)駐車場に向かう。
ナビで全長215km3時間と表示。
あきる野インターから圏央道八王子JCTで中央道で松本インターを走り、158号で沢渡駐車場に予定通り4時30分に着く。

沢渡駐車場は6年ぶりだが、だいぶ様変わりした。
立派なバスターミナルが出来たのだ。
上高地行きの始発バスは5時であるが、すでに登山者は100人を越えて並んでいた。
イカー規制で沢渡から上高地までは通行規制なので交通手段はこのバスを利用するしかない。
5時過ぎの始発バスに乗り、6時前に上高地帝国ホテルに下車する。

前置きが長くなったが、今日は、百名山である標高2455mの焼岳に登る。
焼岳は北アルプスでは数少ない活火山の一つであり、活火山の状況次第ではいつ登山禁止になるかわからない山である。

外見が華やかな上高地帝国ホテルの前を通り過ぎ、梓川に沿って歩くと焼岳登山口に着く。
樹林帯の中に、なだらかな登山道を登るといくらか急登に変わる。
高度を稼ぐ急登は随所に梯子が取り付けてある。
稜線が見える所まで到達すると焼岳が眼前に飛び出してきた。

稜線に向かって登ると焼岳小屋を通り過ぎ、焼岳頂上直下40分に差し掛かった。
登山道のガレ場は硫黄の付着した噴火孔から硫黄が立ち上る。
その噴火孔を避けるように急登を我慢して登ると遂に9時過ぎ焼岳に登頂した。
登山ルートのコースタイム4時間のところを3時間で辿り着いた。

天候は晴れて展望はよかったが、槍穂高連峰乗鞍岳の山頂付近はガスに覆われていたものの、白い雲が爽やかだ。
眼下に蛇行する梓川上高地全体が見渡せて気持ちいい。
存分に絶景を楽しみ、中の湯方面へ2時間かけて下山する。

12時過ぎに中の湯温泉 中の湯温泉旅館に着いた。ところが、旅館前にあるはずのバス停がない。
そこから車を駐車している沢渡駐車場まで帰えるバス停がないのだ。
旅館に訊くとバス停は右に曲がってずっと下って歩いて40分だとか。

なにっ!なんかの間違いだろう!

あらためて登山地図を確認すると確かに旅館の前にバス停がある。
いったいどういうことなんだ。

やるせない気持ちでいっぱいだ。
迷路に陥った気分になった。

しょうがなくバス停まで40分約6kmかけて歩くことにした。灼熱が結構疲労にこたえる。
ほどなくして後ろから声がきこえた。

おいっ!乗って行かないか!

振り返ると、日に焼けた、一見して65歳過ぎのいかにも山男って感じだった。

ちょっと待てよ
あの方は見覚えがあるぞ。

焼岳から下山した時に途中で追い抜かれた方だ。
急に目の前が明るくなり救われた気分だ。
お言葉に甘えさせて乗せてもらった。

この方は、地元長野県の原村で米、野菜等の農業を営んでおり、週末は時間があれば山登りするという。百名山も挑戦しているようで北海道の登山について話が盛り上がった。
焼岳は10回以上登っており、車で自宅に帰る途中は、自分みたいな登山者を見ては拾っていくのだという。

この方の説明から今回のバス停の謎解きができた。
つまり、自分の持っている登山地図は1995年版地図であり古いのだ。
当時の中の湯温泉旅館の前は、確かにバス停があったが、5年ほど前に当旅館が引越、新築して現在の場所にあり、バス停は移動しないでそのままの状態だったのだ。

最新の情報を仕入れることに欠けていた。
猛省した思いだ。

結局、その方は通り道とは言え、沢渡駐車場まで送ってくれた。
乗車時間は約30分前後でバス料金にすると1300円だ。
車代金を渡そうとポケットから取り出すと、はにかんだ笑顔で「いいよ。」と窓から手を振って行かれた。

あのまま40分かけて下り、バスに乗ろうにしてもバス発着時間が不明であり、沢渡駐車場に何時に着くか見当もできない。
下手したら夕刻になっていたかもしれない。
本当に救われた思いだった。

山男のさりげない優しさに触れて、久しぶりに心が温かくなった。
今でもその方の優しい笑顔が脳裏に焼きつけている。
自分もそんな山男になりたいと思った。

明日は乗鞍岳に登る。
天気も良さそうだ。
今晩は道の駅で車中泊としよう。

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上高地帝国ホテルから歩きます。
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梓川に沿ってしばらく歩きます。
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この登山口からスタートです。
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焼岳が眼前に迫ってきました。
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焼岳小屋の前を行きます。
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稜線に出たら笠ヶ岳が見えました。
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噴火孔から硫黄を避けて登ります。
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ついに焼岳に登頂。
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蛇行する梓川上高地が見えます。
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穂高連峰は少しだけ隠れていました。
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赤い屋根が西穂高山荘です。
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笠ヶ岳と眼下は新穂高温泉
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登山者も歓声があがる。
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焼岳よ また来るぜ。
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噴火孔から立ち上る硫黄が、焼岳頂上直下の正賀池を横切る。
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せせらぎの湯で2時間まったりしました。
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道の駅 風穴の里 で車中泊です。