#78 新北海道紀行 ハルキストが集う聖地にワクワク

2020年9月11日金曜日
7日目

いつも通り道の駅 美深で6時過ぎに起床して髭剃り、歯磨きを化粧室ですませて、朝飯用のおにぎりを食べる。

気になる天気だが、スマホの天気予報は、北海道は全体的に☀️マークがなく、☁️と☔のオンパレードだ。
このまま秋雨前線が張り付くと羊蹄山十勝岳登山が厳しい状況になりつつあり、一抹の不安をかかえる。

ここ美深は、☔がなく、かろうじて終始☁️だ。
しかしながら、霧雨を覚悟する必要があるかもしれない。

さて今日の旅は、いつもの「今日はどうするか。」の呟きはない。
今日の行動は目的意識があるからだ。
それは、仁宇布(にうぷ)にある松山農場とトロッコ王国を廻ることである。

ここで簡単に美深町について説明する。
美深町は道北に位置しており、名寄市の隣町である。
稚内まで2時間、旭川まで2時間30分の中間にあり、人口4000人超えの小さな町である。
南北に天塩川が流れている。
仁宇布の冷水と十六滝は環境省より名水百選に認定されている。

美深の地名の由来は、天塩川の砂利川原をさすアイヌ語の「ピウカ」(石の多い場所)に由来し、美深駅周辺は「ピウカ」と呼ばれたらしい。(地元談)

観光の目玉がない美深町になぜ訪ねるのか。
理由は、毎年ノーベル賞候補にあがっている村上春樹が執筆した「羊をめぐる冒険」の舞台のモデルが美深町の仁宇布ではないかといわれているからである。
特段、検証しに行くわけでもなく、雰囲気を味わいたいだけである。

羊をめぐる冒険」を知るきっかけは、大学2年の時に付き合っていた彼女から紹介されたのがきっかけだった。
まず、枠にはめたガッチガッチの凝り固まった文章ではなく、自由自在の筆致で、たくみに人間の心理を見事に描かれていたことをよく覚えている。

羊をめぐる冒険」は、文字通り、羊を探す旅で、星形の印がついている羊を探す牧場を追い求める冒険である。
その牧場のモデルが美深町仁宇布にある松山農場ではないかといわれている。
真偽の結果はともかく、このような文学のロマンを旅するのもありかなと考えた。

松山農場は道の駅 美深町から30km45分離れた場所にあった。
ワクワク感で松山農場に近づくと右手に広い牧場がある。
待避所で車を停めて柵まで歩くと羊が20頭前後、戯れていた。
そしてこの小説の重要な舞台である別荘が、松山農場と二重映しに見えた。
小説で描かれた、あの場面が自分の記憶の中にしっかり定着しているので瞬時に蘇る。

村上春樹は青春時代にこの地を訪れて小説の題材にしたかもしれない。
そう思うと、なんかワクワクした感じになる。

村上春樹を信奉する全国のファンの方々が、毎年1回開催される「草原朗読会」をここ松山農場に集まり、村上春樹の出版本を読み合わせる旨の記事をどこかで読んだことがある。
それがここの地だと思うと親近感が湧く。

話題を仁宇布駅に変える。
昔の仁宇布駅は美幸線の最終駅だったようだ。
宗谷本線美深駅を起点とし、昭和39年に開業したものの、全国3位以内に入る大赤字でやむなく昭和60年に廃止したと歴史資料に記されていた。

ロッコ王国美深を訪ねると、当時の仁宇布駅のプラットホームがそのまま残っていた。
せっかくの機会なのでトロッコに乗ることにした。
このトロッコはエンジン付きでひとりで運転できる仕組みだ。
往復10kmのレールの上を気ままに50分運転する。
エンジンとレールに揺れる音が居心地がいい。

ロッコから降り、トロッコの管理者と思われる70歳過ぎの男性に仁宇布の人口、学校、鉄道等いろいろと訊いて丁寧に説明してくれた。
ついでに村上春樹羊をめぐる冒険のことは知っていた。
男性の説明によると毎年、外国人のファンの方々が美深、仁宇布に来ているという。
昨年はロシア、フィリピン等の外国人が訪れていたとか。
彼らの目的も羊をめぐる冒険のロマンを求めているのだろう。

ハルキストはすでにグローバルだ。

今日の走行距離 69km
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道の駅 美深から一日のスタートです。
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美深駅と駅前通り。
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美深駅内で美幸線の歴史資料が展示されています。
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天塩川は北海道第2位の距離です。
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仁宇布駅から名残りのレールを走る。
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ハルキストが集う聖地 松山農場
松山農場はファームイントントともいわれ、仁宇布唯一の宿泊宿。羊のジンギスカン食べ放題です。
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牧場から鹿が現れました。
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仁宇布の冷水と十六滝巡りをしました。
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美深駅から2番目の駅 紋稲内駅は秘境駅のひとつですが、2021年3月に廃駅になる予定です。
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美深温泉は浴室が広くて天井も高く、まったりしました。


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