2020年8月29日土曜日
午前1時30分過ぎに自宅を出発し、長野県松本市にある沢渡(さわんど)駐車場に向かう。
ナビで全長215km3時間と表示。
あきる野インターから圏央道八王子JCTで中央道で松本インターを走り、158号で沢渡駐車場に予定通り4時30分に着く。
沢渡駐車場は6年ぶりだが、だいぶ様変わりした。
立派なバスターミナルが出来たのだ。
上高地行きの始発バスは5時であるが、すでに登山者は100人を越えて並んでいた。
マイカー規制で沢渡から上高地までは通行規制なので交通手段はこのバスを利用するしかない。
5時過ぎの始発バスに乗り、6時前に上高地帝国ホテルに下車する。
前置きが長くなったが、今日は、百名山である標高2455mの焼岳に登る。
焼岳は北アルプスでは数少ない活火山の一つであり、活火山の状況次第ではいつ登山禁止になるかわからない山である。
外見が華やかな上高地帝国ホテルの前を通り過ぎ、梓川に沿って歩くと焼岳登山口に着く。
樹林帯の中に、なだらかな登山道を登るといくらか急登に変わる。
高度を稼ぐ急登は随所に梯子が取り付けてある。
稜線が見える所まで到達すると焼岳が眼前に飛び出してきた。
稜線に向かって登ると焼岳小屋を通り過ぎ、焼岳頂上直下40分に差し掛かった。
登山道のガレ場は硫黄の付着した噴火孔から硫黄が立ち上る。
その噴火孔を避けるように急登を我慢して登ると遂に9時過ぎ焼岳に登頂した。
登山ルートのコースタイム4時間のところを3時間で辿り着いた。
天候は晴れて展望はよかったが、槍穂高連峰、乗鞍岳の山頂付近はガスに覆われていたものの、白い雲が爽やかだ。
眼下に蛇行する梓川と上高地全体が見渡せて気持ちいい。
存分に絶景を楽しみ、中の湯方面へ2時間かけて下山する。
12時過ぎに中の湯温泉 中の湯温泉旅館に着いた。ところが、旅館前にあるはずのバス停がない。
そこから車を駐車している沢渡駐車場まで帰えるバス停がないのだ。
旅館に訊くとバス停は右に曲がってずっと下って歩いて40分だとか。
なにっ!なんかの間違いだろう!
あらためて登山地図を確認すると確かに旅館の前にバス停がある。
いったいどういうことなんだ。
やるせない気持ちでいっぱいだ。
迷路に陥った気分になった。
しょうがなくバス停まで40分約6kmかけて歩くことにした。灼熱が結構疲労にこたえる。
ほどなくして後ろから声がきこえた。
おいっ!乗って行かないか!
振り返ると、日に焼けた、一見して65歳過ぎのいかにも山男って感じだった。
ちょっと待てよ
あの方は見覚えがあるぞ。
焼岳から下山した時に途中で追い抜かれた方だ。
急に目の前が明るくなり救われた気分だ。
お言葉に甘えさせて乗せてもらった。
この方は、地元長野県の原村で米、野菜等の農業を営んでおり、週末は時間があれば山登りするという。百名山も挑戦しているようで北海道の登山について話が盛り上がった。
焼岳は10回以上登っており、車で自宅に帰る途中は、自分みたいな登山者を見ては拾っていくのだという。
この方の説明から今回のバス停の謎解きができた。
つまり、自分の持っている登山地図は1995年版地図であり古いのだ。
当時の中の湯温泉旅館の前は、確かにバス停があったが、5年ほど前に当旅館が引越、新築して現在の場所にあり、バス停は移動しないでそのままの状態だったのだ。
最新の情報を仕入れることに欠けていた。
猛省した思いだ。
結局、その方は通り道とは言え、沢渡駐車場まで送ってくれた。
乗車時間は約30分前後でバス料金にすると1300円だ。
車代金を渡そうとポケットから取り出すと、はにかんだ笑顔で「いいよ。」と窓から手を振って行かれた。
あのまま40分かけて下り、バスに乗ろうにしてもバス発着時間が不明であり、沢渡駐車場に何時に着くか見当もできない。
下手したら夕刻になっていたかもしれない。
本当に救われた思いだった。
山男のさりげない優しさに触れて、久しぶりに心が温かくなった。
今でもその方の優しい笑顔が脳裏に焼きつけている。
自分もそんな山男になりたいと思った。
明日は乗鞍岳に登る。
天気も良さそうだ。
今晩は道の駅で車中泊としよう。
上高地帝国ホテルから歩きます。
梓川に沿ってしばらく歩きます。
この登山口からスタートです。
焼岳が眼前に迫ってきました。
焼岳小屋の前を行きます。
稜線に出たら笠ヶ岳が見えました。
噴火孔から硫黄を避けて登ります。
ついに焼岳に登頂。
蛇行する梓川、上高地が見えます。
槍穂高連峰は少しだけ隠れていました。
赤い屋根が西穂高山荘です。
笠ヶ岳と眼下は新穂高温泉
登山者も歓声があがる。
焼岳よ また来るぜ。
噴火孔から立ち上る硫黄が、焼岳頂上直下の正賀池を横切る。
せせらぎの湯で2時間まったりしました。
道の駅 風穴の里 で車中泊です。