#83 新北海道紀行 襟裳の春は日本一の春です。

2020年9月15日火曜日
11日目

道の駅 みついし昆布温泉で6時過ぎ起床。
今日の天気予報は☁️/☔であるが、予想に反し今朝から☀️の気配だった。
なんか儲けた気分になった。

髭剃り、歯磨き、朝食をすませて道の駅を7時過ぎに出発する。
太平洋を見ながら快適に236号を走り、1時間30分で襟裳岬に着く。

少し雲が出てきたが、☔の気配はない。
昨日の☔の襟裳岬でなくてよかった。

ご存知の通り、襟裳岬日高山脈の最南端に位置し、強風が吹きやすく濃霧が発生しやすい。
この日はやや強風だったが、霧はなかった。
森 進一の襟裳岬の歌碑がある。

襟裳の春は何もない春です。

このフレーズで襟裳岬は一躍有名になったが、
地元では不評らしい。
何もない春とはなんだと。

もう20年前になるが、NHKプロジェクトXの番組で襟裳岬を放映されていたのを覚えている。
緑が一つもない砂漠状態の襟裳岬を、一人の地元の漁民から立ち上がる。
徐々に仲間を増やして44年にわたる植林作業を続けて砂漠化した襟裳岬を見事に森に変える。
技術を越える執念に感動した。

この植林により、当時昆布など全く採れなかった真っ赤な襟裳岬の海は、紺碧な海に生まれ変わったのだ。
不毛とされた昆布も蘇り、今や日本一の昆布ともいわれている。
不可能を可能にさせた、地元漁民の信念を貫くストーリーにNHKの進行役の方が涙を流し、自分ももらい泣きしたことを覚えている。

このような背景を知っていたので襟裳岬に立つと、信念と執念、そして継続する努力の大切さをあらためて強く感じる思いだ。

襟裳岬から日高へ戻る途中で浜辺に昆布を干す人影があった。
黙々と昆布を干す30歳過ぎの女性が気になり、浜辺に立ち寄る。
仕事中に声をかけては気まずいと思った。
しかしながら女性は昆布の選別作業を中断し、快く応対してくれた。

この女性は、帯広からの出稼ぎバイトで元気モリモリの主婦だった。
女性によると昆布漁は採り昆布と拾い昆布がある。
採り昆布は、7月から10月がシーズンであるが、天候、海、風等の条件から昆布出船は平均20日前後だそうだ。
夏場は岩場まで漕いで船の上から木の棒に昆布を巻つけて採るそうだ。
天日干しは一日で終わるが、今日のような曇天だと3日干すとのこと。

拾い昆布は、海が荒れた翌日に浜辺に昆布が打ち上げられるのでそれを拾うのだという。
この日に打ち上げられた昆布を選別し、根っこを切って持ち帰るのだとか。
乾燥させると大きさが三分の一に縮むそうだ。

料理に欠かせない昆布の裏事情を知ると、ますます昆布が好きになった。
これも襟裳岬の海を豊穣にさせた地元漁民の44年にわたる植林作業のおかげだと思うと感慨深いものがある。

今や襟裳の春は日本一の春です。

話題を変える。

襟裳岬から様似に行く途中で太平洋に浮かんだ山がなんとも印象的だった。
なんていう山なんだろうか。
もしかして高山植物が有名なアポイ岳かも。
思わずシャッターを切った。

336号を走り冬島漁港を過ぎると、アポイ岳ジオパークと表示された大きな看板を右に曲がると、5分ほどでアポイ岳ジオパークに着いた。
アポイ岳ジオパークに入るとアポイ岳に関連する高山植物、登山情報等パネル写真がたくさん展示されていた。

ジオパークの担当のAさん(男性)とHさん(女性)に先ほど撮った写真を見せ、この山はアポイ岳ですかと訊いたところ、アポイ岳だという。
そもそもアポイ岳に登山するつもりはなかったのだが、応対してくれたAさんのヒグマの出没情報、登山情報は、丁寧に優しく教えてもらい、登りたい気持ちが強くなった。

Aさんがアポイ岳の天気予報を調べたところ、明日は☔なので無理だが、19日、20日が☀️なので是非登ってみてくださいと、アドバイスをもらう。
19日、20日アポイ岳登山したいが、この日は本命の羊蹄山が控えているから無理かなと呟く。

AさんとHさんにお礼を言ってジオパークを出る。
海に浮かぶアポイ岳は様になっていい山だ。
天気次第だが、どうにかして登ってみたいものだ。

今日も道の駅 みついし昆布温泉車中泊だ。
あの昆布湯でまったりするのが楽しみだ。

羊蹄山の天気予想は相変わらず18日まで☔だ。
19日に☀️がついたので希望の光が出てきた。

はてさてそれまでの3日間は、どう過ごすのか。
また、今日はどうしようか に戻ってしまったが、これが旅の醍醐味だ。
明日は何かときめく予感がする。
明日が待ち遠しい。

今日の走行距離 137km

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襟裳岬は4回目です。
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砂漠から緑に変わった襟裳です。
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襟裳の浜辺で拾い昆布を干す。
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襟裳の漁港です。
鮭をゲットした餌はイカとサンマでした。
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襟裳中学校です。授業中でした。
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襟裳の空が晴れました。
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襟裳の漁港から眺めた左端の高い山がアポイ岳です。太平洋に浮かぶアポイ岳が印象的で登りたくなりました。
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アポイ岳を見てアポイ岳ジオパークに直行。
有益なアポイ岳登山情報ありがとうございました。
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今晩もみついし昆布温泉でまったりしよう。



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