2020年8月30日日曜日
午前5時30分に畳平行きの乗鞍高原シャトルバス停に自分は立っていた。
始発は6時10分なのでまだ時間があるが、登山者は優に100人越えている。
昨日の始発のシャトルバスは臨時バス含めて5台だったと自分の前に並んでいた男性は言っていた。
暇潰しにこの男性との山雑談が楽しかった。
7月下旬にトムラウシを始め北海道百名山を踏破し、昨日は中央アルプスの御嶽山に登頂して昨晩は乗鞍高原の民宿で泊まったという。
群馬からいらした60歳前後の爽やかな男性。
山登りは4年前に始めたばかりで早くも百名山は、今日の乗鞍岳で60座だという。
恐るべしハイペースに目を丸くした。
スマホでトムラウシと屋久島の宮之浦岳の写真と高山植物の写真を見せてくれた。
とても楽しい表情をしていた。
トムラウシと宮之浦岳は未踏の山なので現地情報を仕入れることができ、大変に助かった。
この男性も基本は車中泊で山登り中心にして余った時間は現地の観光巡りで楽しむという。
ひとりのほうが気楽で、好きな場所を自由に行けるので楽しいという。
自分と同じ考えなのでなぜか嬉しくなった。
定刻通り6時10分にシャトルバスは出発。
20分経過後車窓から雲海の山々が見える。
シャトルバスは1時間かけて登り続け、目的地の標高2702mの畳平に着いた。
今日は標高3026m百名山である乗鞍岳剣ヶ峰に登る。
畳平からわずか1時間30分で3000m級の山に登頂できる手軽な山だけに登山者も多い。
畳平からお花畑を歩くと、チングルマの綿毛、イワギキョウ、トウヤクリンドウ、ウサギギク、コマクサ等高山植物が朝露に濡れながらも出迎えてくれた。
登山者は歓声をあげて、我を先にとの思いでシャッターを切っていた。
とかいって自分もそのひとりであるが(笑)
お花畑を存分に楽しみ、乗鞍岳肩の小屋を目指して緩やかな登山道を歩く。
今日も見事な青空だ。
湧き上がる夏雲が素晴らしく美しい。
ほどなく肩の小屋に着き、ここから剣ヶ峰への本格的な山登りだ。
急登な砂利道は少々歩きにくい。
眼下に火口湖であるコバルトブルーの権現池が姿を現した。
青空と白い雲とコバルトブルーがなんともいい。
しばしこの光景に立ち尽くした。
そこで合掌する。
砂利道からガレ場に変わり、乗鞍岳頂上小屋を過ぎると神社が見え、ついに乗鞍岳剣ヶ峰に登頂する。
予定通り1時間30分の8時30分だ。
山頂からの眺めは360度の大展望であり、中央アルプス御嶽山、北アルプスが見える。
なんといっても青空と白い雲、コバルトブルーの対比が素晴らしい。
登山者の方々が 次の3つキーワードを並べて言葉を発していた。
素晴らしい!
絶景!
きれい!
山頂でシャトルバス停に出会った群馬からいらした男性にまた会った。
お互いに笑顔で握手を交わす。
最高だね!
この言葉だけで十分だった。
絶景を楽しんだ後は畳平に戻り、11時5分発の乗鞍高原行きのシャトルバスに乗り、12時過ぎに車を駐車している乗鞍高原に戻る。
さて、まだ時間があるので観光巡りでもするか。
昨日車中泊した道の駅 風穴の里で見かけたポスターを思いだした。
そのポスターは 奈川温泉 とうじ蕎麦 と銘打っていた。
とうじ蕎麦ってなんだろう。好奇心にそそられて、車を走らせた。
乗鞍高原から84号で前川渡を右に曲がり158号を伝い、奈川渡を右に曲がって26号を走ると40分で目的地に着く。
そこは そばの里 奈川 という蕎麦屋だった。
暖簾をくぐり、20代の若い女性店員にあのポスターを見かけた、とうじ蕎麦を食べたいと注文した。
ほどなくテーブルの上にガスコンロが置かれた。
ガスコンロ⁉️
今 夏でしょっ‼️
冷たい蕎麦じゃあないの‼️
今さら注文を取り消すわけもいかず、次の品を待っていた。
野菜、キノコ、鶏肉が一杯に入った熱々の鉄鍋がガスコンロに置かれた。
すぐさま店員が火をつけてくれた。
ざる皿にとうじ蕎麦が5玉があり、世にも珍しい「とうじかご」が置かれていた。
店員いわく、鉄鍋に蕎麦をとうじかごに入れて5秒位しゃぶしゃぶ感覚のイメージで食べてくださいという。
その指示に従い食べてみたらなんとこれが美味!
とうじ蕎麦は冬に食べて体を温めるそうであるが、夏でも汗をかきながら食べるのもいいと思った。
周囲を見渡すと同じように食べている人もいた。
とうじ蕎麦の由来は、蕎麦をつゆに浸すことを湯じという。これがとうじ蕎麦になったと店員がいう。
新たなる蕎麦の発見だった。
次に19号を走り奈良井宿に向かう。
30分ほどで奈良井宿の駐車場に着いて奈良井宿をぶらぶら1時間散策する。
奈良井宿は江戸時代の面影を残すレトロな雰囲気だった。
全長約1kmある。軒先の建物が風情があっていい。
資料によると、奈良井は戦国時代に武田氏の定めた宿駅となっており、慶長7年1602年江戸幕府によって伝馬制度が設けられ、中山道67宿が定められており、奈良井宿は34番目の宿場だったと記されていた。
歴史のロマンを感じた。
今日は絶景、新発見の蕎麦、レトロの風情を堪能した最高の1日だった。
今日はシャトルバス停からスタートです。
イワギキョウ
トウヤクリンドウ
ウサギギク
コマクサ
チングルマの綿毛です。
乗鞍岳が迫ってきました。
この砂利道は登りづらい。
火口湖の権現池と雲海です。
乗鞍岳剣ヶ峰に登頂。
権現池と前方は北アルプス。
剣ヶ峰からの展望です。
とうじ蕎麦 ごちそうさまでした。
奈良井宿は江戸時代のレトロな雰囲気がありました。