#87 新北海道紀行 待望の羊蹄山に立つ

2020年9月19日土曜日
15日目

羊蹄山登山口である真狩キャンプ場を6時出発。
予想通り今朝から☀️だ。

今日は標高1898mの百名山である羊蹄山に登る。
羊蹄山は富士山の山容に似ていることから、蝦夷富士ともいわれている。
独立峰であるゆえに気象変化が激しいことで有名な山である。
登山時間は往復9時間20分、登山距離は12.7km、標高差1646mのハードなルートである。
山頂付近に避難小屋があるものの、コロナ対策により宿泊禁止とされており、日帰り登山となる。

待ちに待った羊蹄山登山だ。
この日を迎えるために日高海岸で3日間待機したのだ。
見返りはきちんともらうぞ、そんな感じで気持ちで
登る。

一合目から急登のジグザグが続く。
エゾマツが抜けたあたりの3合目から朝日が眩しくなる。
霧に覆われた洞爺湖、道南山脈の峰が見え、テンションが上がる。
久しぶりに見る青空の山風景に気持ちが明るくなる。

スズメバチに刺された右腕は、少し重たい感じが残っているが、なんとか登れそうだ。
この素晴らしい山風景は7合目まで続いた。

8合目あたりから妙な風が南から北へ強く吹く。
気にしないでそのまま登り続けると、足元にガスが迫ってくる。
そして瞬く間にガスの真っ只中に自分はいた。

えっ。嘘やろ。
低気圧は昨日午後に太平洋へ抜けたやろ。

羊蹄山の独立峰による激しい気象変化を受けたことを知る。
寒気がするが、まだ霧雨は降っていないのでこのままダケカンバ林の急登を耐えて登る。

9合目に向かう途中で下山者とすれ違う。
8時30分過ぎに、ここで下山するとは考えられない。
理由を訊くと前日の豪雨にたたれて下山できなくなり、遭難寸前のところで9合目にある避難小屋に泊まったとのこと。
本来は、コロナ対策で宿泊禁止であるが、万が一の遭難に備えるため、管理人はいたそうで助けてくれたと。

確かに昨日の雨は半端ない豪雨だった。
そんな豪雨の中で登山するのはどうかと思う。
下山者は3人で皆、罰を受けたように気まずく、肩を落としていた。
よほど管理人さんに叱られたのだろう。
厳しい罰則を受けなければいいのだが。。

気をつけて下山くださいと伝え、自分はひたすら前を進む。
9合目から尾根上を登ると強風となり、霧雨が降ってきた。
たまらず雨具を着替える。

今回の北海道の山登りはガスガスガスの連続で慣れっこだが、まさか羊蹄山までガスとは想定外だ。
手の感覚が寒さで麻痺しそうなので手袋をはめる。

ここから頂上までは、強風と霧雨を正面に受けつつ、足元の悪い岩場を1時間よじ登り、ようやく羊蹄山山頂に10時過ぎに着いた。
さすがに人気のある百名山だけに登山者が多い。

誰もが今日の天気予報、今朝の快晴を見てこのような悪天候に変わるとは信じられない顔をしていた。
これが山の天気なんだ。

何事も絶対はない。
順風満帆でもリスク配慮が必要だ。

下山開始する。
9合目を過ぎたあたりで登頂をあきらめて引き返す登山者が何人もいた。
ガスで何も見えない山頂は登る気がないのだという。
気持ちはわかるが、1時間で登頂できるので頑張ってくださいと声をかけた。

下山して7合目あたりで登りと同じ山風景が見えた。ガスの下にいることがわかる展望だ。
山頂からの展望は見えなかったが、7合目からの眺めは素晴らしく満足だ。
日高海岸で3日間待機して登ったかいがあった。
この3日間は貴重な体験を積み、さまざまな出合いがあった。
北海道で過ごした日々は決して無駄がなく、意味があったんだと心底思う。

そして5合目、4合目を下り、3合目の道標を見ると、なぜか胸に寂寥感が迫ってくる。
胸に空洞ができるような感じだ。
もうこれで旅が終わってしまうんだ。
いよいよカウントダウンが始まるのだ。

一歩一歩、しっかりと登山道に靴を踏みつける。
2合目の道標にたまらず小岩に腰を下ろす。
まだ下山したくない、ここから去りたくない気持ちが強いのだ。
すっかり晴れ上がった日射しは、森林に降り注ぐ。
この静かな森林風景を、淹れたてのコーヒーを飲みながらしばし眺めた。
思いっきりマイナスイオンを吸う。
胸のつかえが取れてすっきりした。

真狩キャンプ場に14時30分に着く。
遠くから登山者の声が聞こえる。
今朝の快晴から悪天候に変わる展開は考えられないといったような気落ちしたような会話だった。
自分はこう言う。

山は絶対はないのだ。
またチャレンジすればいいじゃないか。

室蘭は快晴だと観光案内所の情報で室蘭に向かう。
真っ青な水平線を見たくなったのだ。
真狩キャンプ場を15時に出発する。
豊浦から37号を走り、室蘭港を白鳥大橋で渡ると16時過ぎに地球岬に着く。

地球が丸く見えるといわれる地球岬に初めて立つ。
予想通りの快晴だ。
海が紺碧な色で文句のつけようがない美しさだ。
週末ということもあり観光客が多く、素晴らしい景観に歓喜に満ち溢れていた。
道南の方々は秋雨前線により、長い間太陽を拝めなかったので歓喜の気持ちがよくわかる。
少なくとも10日間は☔☁️だったのだ。

地球岬を心行くまで堪能した後は、室蘭の日帰り温泉「ゆらら」でひとっ風呂する。
登山後の疲労を1時間かけてそぎ落とす。
まだ右腕が滲みて痛いが我慢する。

さて今晩の車中泊は道の駅 虻田(あぶた)だ。
明日は函館から渡島半島を回ろうぞ。

百名山78座登頂 残り22座

本日の走行距離 120km

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早朝の洞爺湖は霧に覆われ、幻想的でした。
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羊蹄山の山頂が見えます。
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快晴でテンションも上がります。
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さらに高度をあげる。
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雲が下に見えました。
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不穏な雲の動き。
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待望の羊蹄山山頂です。
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下山時の洞爺湖と真狩市街。
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真狩キャンプ場と登山口です。
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室蘭港の白鳥大橋を走ります。
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地球岬はいい眺めだった。
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室蘭は初めての観光です。
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ゆららでまったり。


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