#64 北アルプス紀行 気迫の縦走で裏銀座コース往復もなんのその

2020年8月4日火曜日
北アルプス4日目

黒部五郎小舎の朝は早い。
午前4時点灯し、4時30分に食堂で一堂に会して朝食をとる。
さすがに北アルプスの奥地だけに早朝の登山者の行動が早い。

今日の登山ルートは、三俣蓮華岳をトラバース(遠巻き)して三俣山荘を通り過ぎ鷲羽岳水晶岳裏銀座コースを往復後、三俣山荘に戻って宿泊する計画だ。
標準時間10時間の長丁場となる。

天気は晴れマーク予想で気分はルンルン♪
午前4時45分に黒部五郎小舎を出て三俣山荘を2時間かけて登る。
樹林帯の厳しい急登を1時間登ると森林限界を越え、見晴らし良い稜線に出る。
三俣蓮華岳をトラバースし、幾つかの小沢を渡渉する。
この小沢は、上からの雪渓から来る水だけにひんやり冷たい。

ほどなくして三俣蓮華岳の大雪渓に出合う。
スリップすると70m下に滑落するので慎重に横切る。雪渓の上を眺めると槍ヶ岳が見えてテンションが上がる。
この雪渓の沢沿いに下ると今晩泊まる三俣山荘に
6時15分に着く。
標準時間より30分短縮し、出だしは好調である。

三俣山荘から見上げる鷲羽岳は仰ぐように高い。
ジグザグのガレ場は傾斜が強く、息切れするが
標準時間1時間30分を1時間で標高2924mの百名山である鷲羽岳に踏破する。

快晴のおかげで、槍穂高連峰黒部五郎岳薬師岳、白馬岳から爺ヶ岳に連なる後立山連峰等360度の大パノラマを心いくまで楽しんだ。
居合わせた登山者達も笑顔がこぼれるのは当然だろう。

さて鷲羽岳山頂からこれから縦走する水晶岳が見える。順調にいけば2時間30分で辿り着くはずだ。

鷲羽岳を8時過ぎに出発しワリモ岳まで一気に下り、雲の平の分岐点であるワリモ分岐点を越えると水晶岳が身近に迫る。

空は透き通った紺碧な空だ。
黒部五郎岳薬師岳が霞が立つ風景に酔いしれる。

雲を突き抜けて昇る太陽がカンカン照り続け、汗がたらふく流れるが、この絶景を見ながら縦走できることはこの上ない幸せである。
時折、風が吹いて心地良い。爽快だ。

今日も体調がよくフットワークも軽い。
水晶岳頂上直下の最後の岩場を30分よじ登るとついに標高2986mの百名山である水晶岳(黒岳)に10時30分に登頂する。

水晶岳からの展望は鷲羽岳に劣らず見事な絶景だった。
特に槍穂高連峰の眺めは最高。

これを見たかったんや😃

つい声を出してしまい、周りの登山者から好奇な目で見られてもへっちゃらだ。
ガスコンロを取り出してお湯を沸かし、煎れたてのコーヒーを絶景を前に飲む。今日は格別に美味い。
このまま時間が止まってほしいと思った。

水晶岳頂上で1時間ゆっくり過ごした後は、逆ルートで鷲羽岳を再び登頂後、15時過ぎに水俣山荘に着く。
受付で宿泊費用を払い、部屋で1時間仮眠する。

明日は最終日でいよいよ岐阜県新穂高温泉へ下山する。
この小屋の30歳過ぎの美人女将さんに新穂高温泉ルート下山時の見所を教えてもらった。

それは双六岳登頂ルートで、山渓雑誌に度々掲載される絶景スポットがあるという。
その絶景スポットを地図に指をさして、明日は晴れだから絶対に行くよう熱心に勧められた。
次の見所として槍平小屋にかき氷🍧の販売があり、わさび平小屋ではトマト🍅、スイカ🍉の販売があるという。
一気にヨダレが出る。明日の楽しみが増えた。

さて晩飯であるが、コロナの影響で水俣山荘はガス調達が困難により、登山者に事前にガスコンロ持参の指示があった。
当然ながら晩飯の材料は三俣山荘が提供する。
それを承知で三俣山荘宿泊にしたのだが、誤った選択をしてしまった。

提供された米はアルファ米であるが、これを持参したガスコンロで沸騰させた後、この小屋のオリジナルである鹿肉丼風のパックから取り出してアルファ米に乗せて食べる。
このアルファ米が自分の体に受け入れなかった。
この小屋には申し訳なかったが、半分以上残してしまった。

晩飯を食べた気分になれなかった。
小屋スタッフの方々の申し訳無さそうな表情を見ると怒る気持ちにもなれなかった。
宿泊者も文句を言いたげそうだったが、皆堪えて食べている。皆優しいんだ。

翌日の朝食は弁当を頼んだ。
弁当といっても菓子パン2個とオレンジジュース紙パックとスナック菓子だ。

晩飯は食べられず、ライトな朝食弁当で明日の9時間にわたる激しい登山ルートに耐えられるのか、不安がよぎる。
この不安が的中し、地獄ロードになろうとは考えもしなかったのである。

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朝焼けの黒部五郎岳です。
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トゥワイライトな常念岳の稜線。
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三俣蓮華岳の大雪渓とその先に見える槍ヶ岳
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鷲羽岳への急登は傾斜が強いが登りがいがある。
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鷲羽岳山頂から槍ヶ岳 穂高連峰を眺める。
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鷲羽池と槍ヶ岳穂高連峰。絶景だ。
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鷲羽岳から三俣山荘 三俣蓮華岳 双六岳 笠ヶ岳を眺める。
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次のターゲットは水晶岳だ。
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水晶岳山頂です。
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三俣蓮華岳 双六岳 笠ヶ岳 黒部五郎岳の山風景です。
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黒部五郎岳と雲の平。昨日縦走した黒部五郎岳の稜線を眺めると感無量である。
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霞立つ薬師岳
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赤牛岳と剣岳 立山
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このアングルがいいね。絶景だ。
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水晶小屋から野口五郎岳を眺める。
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有明山 燕岳方面の表銀座
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眼下に黒部源流。
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今晩泊まる三俣山荘です。お世話になります。