#44 北海道紀行 羅臼岳

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2015年7月17日金曜日
北海道6日目

前夜の民宿「とおまわり」夕食後の宴会の余韻が残りつつ、2時30分に宿を出てハンドルを握り、知床横断道路を走り、国道93号から岩尾別に入り、木下小屋前の路肩で駐車する。
なんとか路肩に駐車することができ、安堵する。
少しづつ闇が消え、登山道の小石がかろうじて見える。

今日は、標高1661mの百名山である羅臼岳に登る。

素早く身支度して登山モードに切り替え、4時に登山口を出発する。
肝心の天気予報であるが、前日のウトロ町の婦人館食堂のおばさんの情報では、北西の風が吹くと晴れの傾向が強いという。
天気図に目をやると網走からウトロ方面に北西風がある。よって今日は晴れであろうと信じて前へ進もう。

広葉樹林の中を登りジグザグの急斜面を登るとオホーツク展望に着くもガスで何も見えず。
さらに前へ進むと羅臼岳の雪渓からくる冷たく豊富な水が流れる弥三吉水でボトルを満タンに汲む。
まだ一面はガス状態で見えず、更に進むと大沢雪渓の入口に着く。

ここからおよそ800mの急勾配の大雪渓を慎重に登る。アイゼンを用意していないのでしっかりステップしないと一気に底に落ちて大怪我する。
今回のハイライトのルートだ。
慎重に踏み入れては、グラッと体が傾きかけ、バランスを崩すしては体重移動で力一杯踏みとどまる。もはや後戻りできない状況下で心の中は泣きたくなる心境であり、恐怖を久しぶりに感じる。

極度の緊張感は、1時間で解放されて雪渓を抜け出し、羅臼平に着くとご褒美にガスが晴れる。
前方にオホーツク海に浮かぶ国後島が横たわっている。
ここまで来ると羅臼岳への絶壁の登りを2時間耐えしのぐとついに10時過ぎに羅臼岳頂上に立った。

羅臼岳から眺める展望は遮ることがないパノラマ展望に興奮する。
遠くに知床半島の先端までくっきり見え、網走、ウトロ、羅臼湖、知床五湖野付半島、別海等がはっきり見える。
この絶景に自分はテンションが上がり、しばし立ち尽くす。

もうどこにも行きたくない。
下山したくない。
このまま寝そべってみたい。

そんな心境だった。

今回の北海道の百名山登山はこれで終わるが、台風の中をめげすに登った利尻山、悲しいかなガスの斜里岳、快晴の雌阿寒岳、そして今の快晴の羅臼岳の頂上に、確かに自分はいる。
今年の北海道の夏の天気は読めずに翻弄されたが、最後まで諦めないでよかったと心底思い、つい熱い涙がこぼれる。

自分は今回の北海道百名山を通して最後まで諦めない精神力を得た。
これを実社会に繋げるようにしたいと思う。

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恐怖の大雪渓はビビりまくりでした。
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羅臼平から見上げる羅臼岳はでかい。
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羅臼岳頂上からの眺望です。
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岩尾別温泉でひとっ風呂。気持ちよかった。
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知床五湖から見上げる知床連山です。右端の山が羅臼岳です。
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今晩も民宿「とおまわり」連泊。今宵は大宴会でハッスルするぞ!