#43 北海道紀行 雌阿寒岳

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2015年7月16日木曜日
5日目

6時過ぎに空を見上げると分厚い鉛色に覆われた曇空が阿寒湖一面を支配していた。
無風の中に小鳥が元気に囀ずる。
他登山者は我を先にと登山口に向かっている。

自分も遅れず出発しようとした矢先に隣に駐車した50歳代後半の男性に「今日の天気はどうですか。」と声をかけられる。
振りかえると、奥さんと二人でこれから雌阿寒岳に登るようだ。
空が重々しく、陽光が出る気配がないので心配だと。

「今は全く晴れる気配がありませんが、9時30分過ぎに晴れるようですよ。」と自分が言ったらお二人も安堵した表情をしていた。
車ナンバーを見ると長野方面のようだ。
行きルートは異なるが、よい山旅であるようエールを送る。

今日は標高1499mの百名山である雌阿寒岳に登る。

登山口を出てアカエゾマツの森の中に登り、雌阿寒コースを行く。
最初から急登だが、涼しいので汗かいても気持ちがいい。
三合目を過ぎるとハイマツのトンネル状態が続くが、すでにガスの中で、前方5m先は何も見えない。
風が少しづつ強まり、小雨がぱらつく。
利尻山に登るあの時の天候状態に似て嫌な予感がする。

4合目過ぎたら森林限界を越え、本来ならば眺望を見渡せるはずであるが、何も見えず、霧の中に自分はいる。
相変わらず急傾斜が続き、真っ白の中を登ると8合目あたりから岩場に変わる。
この岩場の傾斜がきつい。
我慢を重ねて着実に高度を稼ぐと、ほどなく雌阿寒山に7時30分過ぎに着いたが、ガスで何も見えないのでがっかりする。

現地情報では9時30分過ぎに晴れるとの情報を信じるしかない。
といってもここで2時間待っても体が冷えるだけなので、とにかく体を動かして時間を潰すしかない。そこで予定外の阿寒富士に登ることに決めた。
往復2時間なのでよい時間帯だ。

阿寒富士は名前通り富士の形をしており、標高1476mあり、決して侮れない山だ。
阿寒富士への登りは、砂利道で柔らかい土の急斜面で登りづらいが、なんとか堪えて頂上に立つと雲が流れて青空が見え、ようやくガスが晴れた。
阿寒富士から見た眺望は大雪山を初め日高山脈、知床連山を見渡すことができた。

しばらくすると、駐車場登山口で会話したあの夫婦が満面の笑みで登頂。
「予想通り晴れてよかったですね。」と奥さんから声をかけられ、「やっぱり9時30分過ぎに晴れましたね。」と自分は言った。
距離が縮まったご夫婦に山頂記念撮影を交換しあった。
仲のよいご夫婦で羨ましい限りだ。
先日は羅臼岳に登頂し、快晴で眺望が最高だったと笑顔が素敵なご夫婦。
自分は明日羅臼岳に登るといったら笑顔で返してくれた。

このご夫婦とは、帰りの登山口でばったり会い、また帰りの苫小牧からのフェリー乗船も再会することになるとは考えもしなかったのである。

雌阿寒岳からの眺望も見れたし、あとは知床半島羅臼町で民宿「とおまわり」で魚料理をたくさん食べようぞ。

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阿寒富士頂上にて。
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雌阿寒岳頂上にて。
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オンネトー湖より左が雌阿寒岳、右が阿寒富士。
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羅臼町民宿「とおまわり」は全国からのライダーが多かった。