#39 北海道紀行 利尻山2

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2015年7月13日月曜日
北海道2日目

けたたましい雨音に痺れを切らし午前4時30分過ぎに起床。

避難小屋の宿泊は自分一人だったことに気づき少し違和感を感じる。
人気のある利尻山で天候が雨故に小屋泊りが一人なんてことがあるのだろうか。
コッフェルに湯を沸かしてカップヌードルを黙々と食べる。
登山者がいないことが寂しさを通り越して不気味さを覚える。

雨具を着て5時過ぎ避難小屋を後に出発する。まだ一面暗いのでヘッドランプを着用して登る。
順調にいけば7時に頂上に着くはずだ。雨が鞭を打つように強い。
まるで登頂を阻止するかのように凄まじい強風と大雨だ。さすがに台風上陸するだけの威力はある。
自分はなんとしても登頂するんだという強い気持ちで台風にめげずに前へ進む。

ヤマハイノキの急斜面を上がると9合目に着き、頂上まではあと1時間だ。
山頂に近づくにつれて傾斜がさらに増していく。
赤土が多く、雨でぬかるんで登山靴が思うように上がらない。
風はおさまる気配もない。

岩の急ガレ場にロープがあり、慎重に登る。
ほどなく一帯がリシリゲンゲ、リシリリンドウ等高山植物が広がっているが、ゆっくり眺める余裕もない。
最後の急斜面を渾身の力でふりしぼり、ついに利尻山頂上に立った。

残念ながら予想通り、雨と強風で展望はゼロだった。
晴れていれば真向かいの礼文島稚内日本海が見えるはずだった。

残念無念。
悔しい。

確かに踏破したことを証明するために利尻山山頂道標を手に持って自撮りする。
高山植物に目をやる余裕ができたのでシャッターを切る。
でもここも登山者がいないなぁ。

山頂で15分過ごして7時30分過ぎに下山する。
昨日に登ったコースをそのまま戻るだけだ。
約4時間で登山口に着く予定だ。
7合目あたりから雨が上がり、雲が湧きあがってきて、周囲の山々が眺望できるようになり、心が弾む。実に気持ちがいい草原だ。

ところで、下山途中も登山者に行き合わないとはどういうことだろうか。

経験上、人気のない山でも登山者に行き合うのは自然であり、しかもここは、百名山利尻山だ。
自分一人が独占している感じでもある。

ほどなく登山口が見えた。
やれやれと安堵した時になにやら登山口の前に通行止めのロープが張られている。
標識には、「台風により入山禁止」とあり、日付が7月12日14時となっている。

謎が解けた。

自分が入山したのは、当日の13時30分過ぎだったので通行止めのロープはなく、そのまま登山できたのだが、14時以降は登山者は、入山できないので道理で行き合うことができなかったのだ。
そういうことだったのかと妙に納得した。

ということは、記念すべき2015年7月13日の利尻山登頂は、自分一人だけということか。
なにやら岳の映画の世界だな。
こういうのも記録に残るのかなとおかしなことを呟く。

その後は、雨で濡れたティーシャツ、ズボン等を町営風呂で乾燥して、ひとっ風呂する。

そして今晩泊まる民宿夕陽館でご馳走さまだ。

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