#26 30年ぶり北穂高岳に挑戦その2

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2014年7月27日日曜日
涸沢小屋で軽く朝食をすませ、6時30分に小屋を後にコースタイム4時間かけて北穂高岳に登る。
空を見上げると重い雲が覆う。

昨日の快晴から一転して荒れた天気になりそうだ。天気予報は曇り後一時雨で時々晴れ間が見えるという。
ここまで来て展望が期待できないとは気持ちが重くなる。

気を取り直してしっかり足を踏み入れる。
徐々に高度が上がるにつれて息が上がってくる。
かなり体がこたえる。
前方は、ガスでなにも見えない。登山道から外れないように必死に赤ペンキに塗られた岩場を目指して一歩づつ着実に登っていく。
少し辛くなり、ペースダウンする。時間はたっぷりあるのだからゆっくり行けば必ず頂上に着くのだ。

2時間経過して雪渓を登る。
傾斜がきつく、スティックを確実に止めないと落下するリスクがあるので慎重に進む。
相変わらずガスで視界がない。

小雨が降ってきたので雨具に着替える。
睫毛は雨に濡れてなおさら、前方が見えなくなる。徐々に雨が強くなり、自分の進む道を阻もうとする。雪渓から抜け出し、急傾斜の長い鎖場をなんとか脱出する。
南稜を越えたらほどなく11時過ぎに北穂高岳頂上に着く。

期待した展望はガスに遮られ、意気消沈。
今日は運が悪いと開き直り、頂上から5分の北穂高小屋に駆け込み、雨具、ザックをストーブで乾かす。
体が冷えて疲労も激しかったので北穂高小屋に泊まることして、受付で宿泊申請をすませてふとんに入り、寝ることにした。

昼過ぎに目が覚めた。
窓を見ると、青空がかいま見えた。
雨が上がったようだ。登山靴を履いて急ぎ足で頂上に向かうと、登山者が活気に溢れている。
その理由は、北アルプス全体が見渡せる見事な眺望に酔いしれていたのだった。

間近に迫る槍ヶ岳奥穂高岳が雲の上に湧き上がる風景にしばし我を忘れる。
この感動は久しく忘れていた。

鼓動が高鳴る。

風の音色が聞こえる。

もう言葉が出ない。

夕刻に真っ赤な夕陽に固唾を飲む。
頂上に居合わせた登山者達も感動しているようだ。皆、素晴らしい表情で夕陽を見つめている。
感動のあまり涙を流す女性もいて、もらい泣きになる。

やっぱり山はいいなぁ。

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馬の背と奥穂高岳が見えます。
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雲から槍ヶ岳が湧き上がります。
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雲が流れて槍ヶ岳をはじめ、北アルプスが見えます。
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興奮して引っこ抜いてしまいました。
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シャッターチャンスを見逃さない登山者。
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今晩泊まる北穂高小屋です。
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穂高小屋のデッキから見た大キレット槍ヶ岳。30年前はここを縦走したんだよなぁ。
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ポークは美味。山小屋の晩ご飯も捨てたものではない。
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お兄さん 話相手にしてくれてありがとう。また来るね♪
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もう言葉が出ません。